昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「お父さんにぼう力を受けています」栗原心愛さん虐待死 “公的機関の大人たち”はなぜ父親に屈したのか《裁判前検証》

2月21日、裁判員裁判へ

2020/01/31

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会

「心愛ちゃんの命を奪ったのは、公的機関に所属する大人への不信感だったと言っても過言ではないであろう。自分に寄り添い、父から自分を守ってくれる大人が見つからなかった悲劇である」

千葉小4虐待死 栗原心愛さん

 千葉県野田市で昨年、虐待を受けて自宅の浴室で亡くなった栗原心愛(みあ)さん(当時10)の命日の1月24日を前に発表された同市の検証報告書は、こう結んだ。心愛さんは父親の栗原勇一郎被告(42)から凄惨な虐待を受け、母親(32)も一部の虐待に加担したとして、傷害幇助罪の有罪が確定している。

亡くなった栗原心愛さん(当時10歳)に黙祷をささげる千葉県野田市の職員 1月24日、千葉・野田市役所 ©︎時事通信社

110番通報で駆け付けるも、すでに死後硬直が始まり全身にあざ

 昨年1月24日深夜、千葉県警に勇一郎被告がかけた110番通報で事件は発覚した。「子供が動かなくなりました」。駆け付けた消防や警察が自宅の浴室で倒れている長女の心愛さんを発見。勇一郎被告は、救急隊に心愛さんが動かなくなったのは「さっき」と答えたが、すでに軽い死後硬直が始まっていた。小さな体には全身にあざがあり、虐待が強く疑われた。翌25日、勇一郎被告は傷害容疑で逮捕され(その後、傷害致死罪などで起訴)、母親も2月4日に逮捕された。

 心愛さんの遺体は司法解剖され、胸骨の骨折が見つかった。死因としては、飢餓や極度のストレス状態などから体内にエネルギーを送りにくくなる「ケトアシドーシス」や、不整脈、溺水の可能性が挙げられる。胃は空っぽで、数日間ほとんど食事をしていなかったことが分かる。

 警察が押収した勇一郎被告のスマートフォンからは、心愛さんを虐待する様子が映った動画が残されていた。勇一郎被告は心愛さんを日常的に虐待していたが、特に2018年の年末から19年の年始にかけて加速。心愛さんが死亡する直前の1月21日ごろから、インフルエンザで仕事を休んで自宅にいる時間が長くなり、さらに虐待は厳しくなった。暖房のない真冬の浴室で長時間、足踏みをさせたり、夜通し立たせたりした。死亡した24日には午後から浴室で、十分な食事や睡眠を与えられず衰弱した心愛さんに対し、「5秒以内に服を脱げ。5、4、3、2、1」と数え、脱げなかった心愛さんにボウルいっぱいの冷水を頭からかけていた。勇一郎被告は逮捕当初の取り調べに「しつけのつもりだった」と供述している。