児相職員に「お父さんに叩かれたというのは嘘です」
心愛さんは2月にも父親に児相職員宛ての“手紙”を書かされている。「お父さんに叩かれたというのは嘘です。山崎小学校の〇〇先生に聞かれて思わず言ってしまいました。お父さん、お母さん、妹、(親族の呼び名)にたくさんの迷惑をかけてしまいました。ごめんなさい。ずっと前から早く4人で暮らしたいと思っていました。この間のときにも言いました。お父さんに早く会いたいです。児童相談所の人にはもう会いたくないので来ないでください。会うと嫌な気分になるので、今日でやめてください。お願いします」。勇一郎被告が母親にLINEで文面を送り、心愛さんはそれを書き写した。
2月26日に父方祖父母宅を訪れた児相職員にこの手紙を勇一郎被告が示した。勇一郎被告は「心愛を連れて帰る」と宣言。児相職員は「良いとは言えない」と積極的には制止せず、一時保護解除の条件であった「自宅ではなく、父方祖父母宅で暮らす」という条件は事実上、無効になった。
同僚に“イクメン”ぶりをアピールしていた勇一郎被告
小学4年になった9月、母親と買い物をしていた心愛さんは、「家に帰りたくない」とぐずった。父方親族に連絡し、しばらく祖父母宅に避難することになった。母親が12月25日に迎えにくるまで、勇一郎被告とは離れて暮らしていた。
だが、自宅に戻った直後から虐待は加速。約1カ月後の2019年1月24日、心愛さんは命を落とした。
報道された勇一郎被告の凄惨な虐待や「モンスターペアレント」ともいうべき行政や学校への威圧的な態度の一方で、被告が働いていた沖縄の観光プロモーションを行う財団法人の同僚は違和感を持った。勇一郎被告は同僚に「娘の学校行事に参加した」、「娘が朝、なかなか起きないんだよね」などと“イクメン”ぶりをアピールしていたからだ。実際、市の職員や学校関係者は、次女の検診にも何度も夫婦で参加したり、心愛さんの授業参観に出席したりして、育児に積極的に参加しているように見せる勇一郎被告の姿を見ている。