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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

惨劇のマンション「真下の住人」が語った、深夜のノコギリ音と“肉が腐ったような異臭”

完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件 #3

2020/04/21

genre : ニュース, 社会

note

階段に糞尿が置かれるようになった

「ああ、そういえば、ウンコ事件っちゅうのもあったねえ……」

 ママが思い出したように言った。

「なんですか、それ?」

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「あのね、異臭がしよった時期の後やったと思うけど、このマンションの階段にウンコが置かれるようになったんよ。それも犬とかやない、絶対に人間のってわかるようなやつ。でね、まわりにオシッコなんかもあったりするんよ。うちの階段はリノリウムやけ水は吸わんし、いつまでも残るの。それがまた臭いんよ。もう、たまらんやろ。そういうことがしばらく続いたの」

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男を庇い、子供の頭を叩いた

「それは、逮捕された男女と関係あるんですか?」

「そうなんよ。いつやったかね。たしか1、2年前やったと思うけど、やっぱり階段の2階のところがオシッコでビショビショになっとる時があってね、そこから大人の男の足跡が上の階に向かっとるのよ。それでね、その足跡が30×号室まで続いとったわけ」

「注意とかはしたんですか?」

「もちろん。私が部屋に行ってドアをドンドン叩いたんよ。そしたらね、ドアが開いて、捕まった女が顔を出したの。で、『階段にされたオシッコから足跡がこの部屋にまで続いてるんですけど、いったいどういうことですか?』と問い詰めたわけ。その時よ、あの捕まった男が顔を隠してササーッとトイレに逃げ込んだんよね。

 で、女は部屋の奥におった5歳くらいの男の子を呼んで、『あんたがしたんやろう』っち、頭をバーンと叩いたんよね。でも足跡は明らかに大人のもんで、私もほんとは納得いかんやったんやけど、さすがにそれ以上は言われんやない。やけ、それでこっちも引っ込んだんよ」

 ママはいかにも腑に落ちないという顔をしている。これまでの話からは、捕まった男女のうち、男が廊下に糞尿を残し、女はそれを知りながら庇っていた様子が窺える。しかし、なぜそんなことをする必要があったのか。その理由に想像が及ぶようになるには、さらに数カ月の時間が必要だった。

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男児4人を保護

 この日、じつは男女に初めて当番弁護士が接見していた。後にわかることだが、男女は弁護士に対しては、これまでに使っていた「ミヤザキ」(男)や「モリ」(女)という偽名ではなく、本名を名乗っていた。また、警察も清美さんから彼らの名前を聞いていたが、その確認作業を行っていたために、男女の本名が発表されなかったのである。

 またNHKが3月10日昼のニュースで、7日に北九州市小倉北区泉台にある『泉台マンション(仮名)』において、この事件に関連して男児4人が保護されていたことを報じ、他のメディアもその事実を知ることになった。

 そこで取材を受けた捜査関係者は「子供たちだけで部屋におり、保護者がいなかったなどの理由から保護した。児童4人は元気。受け答えなどはっきりしている。虐待などはいまのところ見受けられない。4人のうち兄弟がいるようだ」と明かしており、男児が9歳と5歳の兄弟と、夫と別居した女性が逮捕された男女に預けた6歳の双子だったことを話している。