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地裁判決直前 “森友事件”の籠池泰典氏が語る「検察特捜部との長い戦いがはじまった“あの日”」

『国策不捜査』プロローグ編

 日本中を巻き込み、過去類例を見ない一大疑獄へと発展した「森友事件」。

 総理夫人との密接な関係、不可解な国有地の割引売却、公文書の改ざん、担当者の自殺。数々の疑惑を残したまま、事件発生から早3年が経とうとしている。2月19日に迫る地裁判決を前に籠池泰典氏が全てを明かした『国策不捜査』が発売された。あの騒動はこんな風にはじまった――

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大阪地検の入るビルの前には50名を超える報道陣

「シェイク、飲みたい」

 突然、家内が口走った。

 言い出したら聞かないたちなので、大阪地検特捜部へと向かっていた車をUターンしてもらう。

 幸い、JR福島駅の近辺にマスコミの姿は見当たらない。

 最寄りのミスタードーナツに入って注文したものを飲みながら、

「やっぱりマクドナルドの方がおいしい」

 と口では文句を言っているものの、満面の笑みがこぼれた。

 あいかわらずカワイイ女性だ。この人のことを見ていると、不思議と元気がみなぎってくる。

 飲み終えると店を出て再び車に乗り込む。

籠池氏 ©文藝春秋

 大阪地検の入るビルの前には50名を超える報道陣が集まっていて、高い脚立がいくつも並べられていた。もはや見慣れた光景だ。スロープを降りて地下から建物に入る。小さな部屋には前回の取り調べでも顔を合わせた検察事務官が待機しており、携帯電話を提出するよう求められた。ほどなくして女性の係員が呼びに来て、エレベーターに乗り込み、17階へと向かう。

「こちらです」

 先導されるままに廊下の奥までまっすぐ歩く。

2017年7月31日午後2時34分。事情聴取がはじまる

 振り返ることはなかったが、後ろに続いていたはずの家内は手前の部屋に入ったようで、足音が聞こえなくなった。この日を境にその後300日近くにわたって話すらできなくなるとは思いもよらなかった。

 2017年7月31日午後2時34分。通された1701号室では堀木博司検事が待っていた。つい4日前の取り調べ、そして6月19日の自宅ガサ入れ、と今回で3度目の対面となる。ポマードで黒髪をオールバックになでつけ、太い眉とギョロッとしたまなざしはいかにも強面といったところだ。

 挨拶もそこそこに事情聴取がはじまる。

 報道によるとボクに対する嫌疑は「(学校法人森友学園の)小学校建設にからむ国交省のサステナブル補助金の不正受給」と、「運営する幼稚園における大阪府・大阪市からの補助金の不正受給」というものだった。

 一方で、財務省や近畿財務局の当時の局長や担当者らが、大阪府豊中市の国有地を森友学園へ売却する際、ごみの撤去費用名目で8億円を値引きし、国に損害を与えたとして背任容疑で刑事告発されていた。