文春オンライン

地裁判決直前 “森友事件”の籠池泰典氏が語る「検察特捜部との長い戦いがはじまった“あの日”」

『国策不捜査』プロローグ編

note

籠池氏にかけられていたふたつの嫌疑

 その内容は先にも述べたように「小学校建設にからむ国交省のサステナブル補助金の不正受給」というものだ。補助金の審査を担当する国交省管轄の「一般社団法人木を活かす建築推進協議会」に対し、校舎の建築費として23億円という金額の契約書を提出。しかし実際にはそれほどかかっていないため、金額を水増しし、5644万円もの補助金を不正受給したとの容疑をかけられていた。

 もう一つボクには嫌疑がかけられていた。それは「運営する幼稚園における大阪府・大阪市からの補助金の不正受給」というもの。幼稚園の補助金の額は専従の職員数によって決まるのだが、その人数を水増しして受給していたと。さらに障がいやアレルギーのある児童に対して、特別な配慮をすることにより交付される特別支援教育費補助金についても不適切な申請が行われたという疑いをかけられていた。

 弁解録取手続きのあと、同じビルの地下にて「しんゆう法律事務所」の秋田真志弁護士、水谷恭史弁護士と面会。2人はボクのことを励ましてくださったと思うのだが、正直、なにを話したのかあまり覚えていない。その後、堀木検事の部屋である1701号室で、おにぎりをほおばった記憶があるのだが、どの時間帯であったのかも判然としない。

ADVERTISEMENT

 午後6時半過ぎには身柄を移送されることになった。

スッポンポンになって四つん這いのまま一周

 護送車の中から外の様子はまったくうかがえない。極度の緊張が解けたのか、少しまどろんでしまう。しばらく走ったあと、フラッシュの光が立て続けに窓を照らしたので、大阪拘置所に到着したのだとわかった。

©iStock.com

 手錠をしたまま廊下を歩かされ、一室に入れられると数人の看守がいた。身長、体重などを測定したあと、医師の診断を受け、既往症などを報告。

 身体検査では・カンカン踊り・もさせられた。

 椅子に座る4人の看守の前でスッポンポンになって四つん這いのまま一周する。身体の具合をお尻の穴まで検査されるのである。

 支給されたランニングシャツとパンツ、さらに緑色の上っ張りと半ズボンを穿くと、看守が写真撮影をする。靴は回収され、ゴム草履にはきかえた。

移動の際はつねに3人の看守

 それから医師のもとに連れて行かれ、血液検査、視力検査などを受けた。指紋掌紋も取られたのだがいつの段階だっただろうか。このあたりの順序はあやふやだ。

 その後、階級が上らしき官員の部屋に通された。ちなみに移動の際はつねに3人の看守がそばから離れない。

 その部屋では帽子に線が2本に入っている男性と面談した。

「体操するときに陽の光を浴びることはできるんですか?」

 もっとも気になることをボクが尋ねると、

「光が差し込むことはないけれども、外気が流れ込むところで体を動かすことはできる」
とよくわからないことを言う。