「6代目山口組」若頭の高山清司(72)が刑務所から出所した昨秋から激化した、山口組と神戸山口組の抗争。警察は1月7日、双方を「特定抗争指定暴力団」に指定して強力な規制に乗り出し、新年はしばらくの間、平穏に推移していた。
しかし2月2日午後、その静寂を破るかのように、三重県桑名市の住宅街に再び拳銃の発砲音が鳴り響いた。銃弾が撃ち込まれたのは高山の自宅だった。
高山は、国内最大の指定暴力団である山口組のナンバー2の地位にあるだけでなく、暴力団社会全体への大きな影響力がある。それだけに、警察当局や暴力団関係者の間に大きな衝撃が走るとともに様々な憶測が飛び交った。
住宅街に鳴り響く銃声
事件発生時は日曜日だったが、近くには学校もある。平日であれば下校途中の子供たちがいたかもしれず近隣住民に恐怖感が広がった。
高山宅に向かって銃撃したのは元山口組系組員の谷口勇二(76)だった。正面の門に発砲し、逃走しようとしたところ警戒中の警察官に取り押さえられ銃刀法違反(所持)の容疑で現行犯逮捕された。谷口は「(高山が所属していた)弘道会に恨みがあった」「3、4発撃った」と容疑を認めている。
事件を受けて、警察庁は神戸山口組側が仕掛けた事件の可能性が高いと判断。神戸山口組組長の井上邦雄ら多くの幹部が活動拠点を置いている大阪と兵庫の警察本部に、「報復として井上らがターゲットとして狙われる可能性が高いためさらに重点的に警戒、事件の発生を未然に防止せよ」との指示を出した。