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暴力団業界は事件をどうみたか?

 このような警察の見方に対して、暴力団関係者は事件をどのようにみているのか。

 70代後半ということもあり現役の暴力団幹部には「(谷口の)名前を聞いたことがない」とする声が多い。

 ある山口組幹部は今回の事件について、暴力団業界特有の事情を交えてこう話す。

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「神戸(山口組)からの指示でやったのではないと思う。(谷口は)神戸とは関係がないのではないか。そもそも、76歳にもなるのに『拳銃で弾いてこい』と指示するのは組織として恥ずかしいこと。本来なら若い人が行くべきだ。年寄が行くことはない」

 さらに、次のように推測した。

「年を取ってきてシノギ(資金源)がなくなり、カネに困りパクられるのを承知でやったのだろう。刑務所に入ればとりあえず飯には困らないから。そして、『何よりも山口組ナンバー2の自宅を拳銃で弾いた』ともなれば、ヤクザ業界の歴史に名を残すことになる」(同前)

 2019年10月に神戸市内で山健組系組員2人が射殺された事件も、逮捕された山口組弘道会系幹部のヒットマンは68歳と高齢だった。所属組織に家族の生計維持を依頼する言葉を残して事件を引き起こしていたといい、この点も山口組幹部の推測と符合する。

警察は、山口組と神戸山口組を「特定抗争指定暴力団」に指定して強力な規制に乗り出した ©iStock.com

事件後、山口組が出した「通達」

 高山宅銃撃事件の翌日となる2月3日、山口組本部は傘下組織に対して次のような通達を電話で伝えた。

「公共施設などでは暴力沙汰を起こさないこと」
「対立組織との間でもめ事があっても返し(報復)をしないこと」

 警察の取り締まり強化が予測されるため、「当面は静かにしていることが得策」との判断をしたものとみられる。