NHK土曜ドラマ『悦ちゃん』(7月15日スタート)で主演をつとめるユースケ・サンタマリアさん。ドラマからバラエティまで縦横無尽に活躍する一方、仕事とストレスのバランスに悩んだ時期もあったという。ミュージシャンとしてのデビュー当時から現在の「立ち位置」、そして「仕事論」までを語り尽くしてくれた。
――NHK土曜ドラマ『悦ちゃん』では、冴えない中年作詞家・柳碌太郎を演じられています。ユースケさんから見て、どのような男でしょうか。
ユースケ 僕と同じで「子ども大人」、浮世離れしている男ですね。僕は今46歳で、中年のオッサンですが、かつて思い描いていた46歳とはぜんぜん違う。自分でもびっくりするくらい、10代の頃から変わっていません。碌太郎とは生きている時代が違いますが、彼の仕事である作詞家も、言うなれば水商売みたいなもの。そういう意味では、芸能界で生きている自分と似た境遇と言えるかもしれないですね。
――ユースケさんと言えば、俳優、司会、ミュージシャンと、マルチな活動で知られていますが、その原点はどこにあるのでしょうか。例えば、子どもの頃からいろいろなことに興味を持たれていたとか?
ユースケ 流行ったものに飛びつく普通の子どもでしたよ。でも、ものすごく飽きっぽかった。高校時代に軟式テニス部に所属していたんですけど、最初はダブルスで後衛だったんです。でも途中で「お前ダメだ、前衛やれ」と言われて前衛に転向して、で、やってみたら前衛も向いてないということで、また後衛に戻って……その繰り返し(苦笑)。これまでの人生も、ずっとそんな感じですよ。突出して「これだ!」というものがないから、結果的にいろいろやることになる。
僕の人生、基本的に全部ひょんなことから
――ミュージシャンとしての活動がきっかけで芸能界に入られたのですよね?
ユースケ でも、正直「音楽をやっていた」という意識はあまりないんですよ。バンドなんてものは、組むだけなら誰でも組める。学生時代なんてエネルギーがあり余っているでしょ。僕は学校が大嫌いだったし、部活もつまらなくて辞めちゃったから、放課後のバンド練習がエネルギー燃焼の場だった。とはいえ、ライブをやったらキャーキャー言われて楽しい……みたいな、そのくらいのモチベーションでしかありませんでしたし。
――大分時代の話ですね。
ユースケ 東京で音楽をやることになったのも、ほとんどその延長です。本当にひょんなことから。というか僕の人生、基本的に全部ひょんなことからなんですけどね(笑)。大分時代の知り合いが「今度プロデビューするバンドがヴォーカルを探してて、『面白いヤツがいい』と言うからユースケくんの連絡先教えちゃった。いいよね?」って。や、いいけどさ、先に言おうぜ、っていうね。で、あれよあれよという間に「BINGO BONGO」というバンドのメンバーに決まっちゃった。