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新型肺炎で有名になってしまった「武漢」、ふだんはどんなところ?

B級グルメと独自のファッションセンスの街

2020/02/14
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武漢は観光地が少ない?

 素晴らしい世界遺産や観光名所が数多く存在する中国は、旅行者にとって最高に魅力的な国だ。ところが武漢に限ると目立った観光名所がない。中国人にすら「何しに武漢に行くの?」と聞かれるほど見どころに乏しい。

 敢えて観光地を挙げるとしたら、武漢のランドマーク『黄鶴楼』がある。呉の孫権が西暦223年に物見やぐらとして最初に建てたと言われている。しかし何度も焼失しては再建し、さらに武漢長江大橋を建造するため元の場所から移転していることもあり、三国志の聖地としてのありがたみには欠ける。

武漢で一番有名な観光地、黄鶴楼。

武漢名物の安ウマB級グルメ、熱乾麺

 新型コロナウイルスの感染源はコウモリやネズミといった野生動物の可能性が考えられ、野生動物を食べる武漢人の食習慣がヒトに感染した引き金になったという報道が一部で見られた。そこで複数名の武漢出身者に野生動物を食べるのか尋ねたところ、全員から「あんなの一度も食べたことないよ」と嫌そうな顔で返答された。では武漢人は普段は一体何を食べるのか?

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 答えはこれ。武漢のソウルフードで中国五大麺のひとつでもある『熱乾麺(ルーガンミェン)』だ。

名店『蔡林記』の炸醤熱乾麺。

 熱乾麺は、安くて早くて美味い朝食の定番メニューとして武漢人に愛されている。油そばのような汁なし麺で、胡麻ダレや具材をかき混ぜて食べる。間違いなく日本人好みの味で、特にジャージャー麺のような肉みそが乗った炸醤熱乾麺はオススメだ。

武漢の至るところに店舗を構える熱乾麺の名店『蔡林記』。