『台湾人生』『台湾アイデンティティー』で知られるドキュメンタリー映画監督の酒井充子(あつこ)さんが、新作『台湾萬歳』を完成させた。
「これまでの作品では、日本統治時代に生まれ育った“日本語世代”の人々や、戦後の国民党独裁・白色テロの時代を生きた人々にインタビューしてきました。日本とも深い関わりのある歴史に翻弄された人々を取り上げてきたわけですが、今回は、そうした激動の中でも変わらぬ日々を営んできた人たち、そして台湾の風土そのものに迫ろうと思いました」
主な舞台に選んだのは、台北から電車で四時間、南東部の台東縣成功鎮。観光地からは遠く離れたひなびた港町だ。
「計百日間、街に住み込んで撮影をしました。台東縣にはアミ族、ブヌン族、タオ族など原住民も暮らしていて、多様な文化があります。ブヌン族の狩猟に同行させてもらったり、日本由来の突きん棒カジキ漁の船に乗せてもらったりもしました。台湾の人でもあまり知らない貴重な映像を撮ることができました」
説明は最小限に抑え、映像に語らせるスタイル。そこに生きる人の息遣いに触れるような瞬間に溢れた、傑作が生まれた。
INFORMATION
『台湾萬歳』
7月22日より、ポレポレ東中野ほか、順次全国公開予定
http://taiwan-banzai.com/