1ページ目から読む
4/4ページ目

逮捕から1年経ち、ようやく優里は“理解”した

 妻への“支配”について雄大の供述調書にこうある。

〈優里は最初は結愛への暴力を非難していたが、私の言葉の暴力に洗脳されて意見を言えなくなったのだろう〉

 この供述に自覚的に優里が向き合ったのは逮捕から約1年が経過した昨年夏。厳しい日課もしつけも「結愛のため」ではなく、雄大が快感を求めてやっていたことだ――そう理解するまで、それだけの時間を要したことになる。

ADVERTISEMENT

現在、アパートは撤去されている(今年1月撮影)

 手記に書かれた優里の心情と、取材によって明らかになった事実を突き合わせたレポート「『結愛ちゃん母』慟哭の手記」を私は「文藝春秋」3月号および「文藝春秋digital」に寄稿した。

出典:「文藝春秋」3月号

 書き終えた翌朝に現場に向かうと、アパートは撤去され更地になってい
る。敷地内に一片、黄色い規制線のテープの切れ端が落ちており、それだけが事件の痕跡のように思えた。

 手記が、結愛のため、虐待で傷つく者を一人でも減らすため、と願う母親の償いの記録として残ることの意味を、改めて思った。

※「文藝春秋」編集部は、ツイッターで記事の配信・情報発信を行っています。@gekkan_bunshun のフォローをお願いします。

文藝春秋

この記事の全文は「文藝春秋 電子版」で購読できます
目黒虐待死事件「結愛ちゃん母」慟哭の手記
文藝春秋電子版 2周年キャンペーン!年額プラン定価10,800円のところ・・・2025/1/6(月)正午まで初年度5,400円!