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辞任と不倫で揺れた永田町 今週の珍言・妄言を振り返る

「一線は越えてない」の一線て何だ?

2017/07/29

蓮舫 民進党代表
「一議員に戻ります。足りないところをしっかり補います。努力して、もっと学んで、もっと強くなる。もう一回、ゼロに戻って、私自身も再スタートする」

産経ニュース 7月27日

 名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。27日は“ダブル辞任”で日本中が揺れた。まずは民進党の蓮舫代表だ。同日昼に辞意が報じられ、午後に行われた記者会見で正式に辞任を表明した。昨年9月に代表に就任してからわずか10カ月の唐突な辞任劇だった。民進党は野田佳彦幹事長も25日に辞意を表明している。

辞任会見に向かう蓮舫氏 ©時事通信社

 記者会見では、東京都議選での惨敗などを踏まえた上で「いったん身を引き、より強い受け皿になる党を新執行部に率いてもらうのが最善の策だ」などと辞任の理由を語った。また、党勢が低迷したことについては「統率する力が私には不足していた」と語っている(産経ニュース 7月27日)。「二重国籍」問題の影響については「全く別次元の問題だ」と否定したが、歯切れの悪い回答による党勢への影響は少なからずあったと思う(朝日新聞デジタル 7月27日)。

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「残念だ。蓮舫氏でいてくれたほうが人気が上がらないのに」

 一方、政府・与党は、民進党を低迷から脱却させられない蓮舫氏が代表でいてくれたほうが都合が良いと考えていたようだ。自民党幹部は「残念だ。蓮舫氏でいてくれたほうが人気が上がらないから良いのに」と本音を漏らしたという(朝日新聞デジタル 7月27日)。作家の竹田恒泰氏はインターネット番組で「蓮舫さんは民進党を墓場まで導いてくれるわが国の救世主」「中途半端なところで降ろされると本当に残念」と笑いながら語った(虎ノ門ニュース 7月27日)。

 蓮舫氏の辞任で党の存続を危ぶむ声もある。大阪府議の中村哲之助氏は「次第に党が溶けて分解してしまわないか」と不安の声を上げた(朝日新聞デジタル 7月27日)。産経新聞は「希有な発信力と存在感を備えた蓮舫氏を育て上げることができなかった民進党のいたらなさもあった」と党全体の問題を指摘している(7月28日)。民進党の桜井充参院議員も自身のブログで「党運営を失敗している人たちが反省もせずに、党の執行部にいることが最大の問題である」とストレートに指摘した(7月27日)。

 いまや民進党はバラバラだ。7月30日に投開票が行われる横浜市長選挙では、菅義偉官房長官の支援を受ける現職の林文子氏を民進党の山尾志桜里衆院議員が応援したことが話題になった。林氏はカジノ推進派としても知られており、カジノに反対する元民主党衆院議員の長島一由氏、「カジノよりも中学校給食を」と訴える民進党の伊藤大貴横浜市議と争っている。ややこし過ぎ!

 蓮舫氏は記者会見で「仮に後ろから鉄砲を撃たれたとしても、それは水鉄砲のレベルだと思います。時間がたてば乾きます」と語ったが、とてもそうは思えない。