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高校受験では“3番手”の子しか入ってこない

 埼玉の高校受験対策塾の関係者はいう。

「そもそも東京と埼玉、千葉の男子の高校入試では、第1志望が筑波駒場などの国立附属、第2志望が私立男子校、そして第3志望が都立や県立高校だったんです。ところが、今は第2志望として都立や県立を選ぶ子が増えています。学費が安く、面倒見もいいですからね。そうなると私立男子校は第3志望校になってしまう。つまり、10年前は、高校受験で“2番手”の子たちが入ってきたのに、今は“3番手”の子たちしか入ってこない。そのため、高校受験で入ってきた子たちは、中学入試組に学力面で及ばなくなっているんです」

 つまり、教育熱心な家庭の子供たちの大半が、中学受験で中高一貫校に入る。一方、中学受験をせず、公立中学に進んだグループで、学力が高い層は国立附属や都立や県立に流れる。そうなると、私立中高一貫校が高校入試を行っても、かつてほど学力が高い生徒が入ってこないのだ。

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「それでも、開成の場合は、まだまだ国立附属落ちの2番手の子たちが入ってきます。いかんせん、東大進学者数日本一ですからね。埼玉の県立難関高校と開成の両方に合格すると、後者に行くケースもまだまだあります」(同塾関係者)

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 他の中高一貫校が高校入試を止めたがる理由として、中学入学組と高校入学組の折り合いがよくないことも挙げられる。「高校から新しい生徒が入ってきた方が、多様性が生まれ、校風もよくなる」という本来のメリットもなくなっているのだ。

都内の高校入試は“日比谷一強”の時代に

 ところが開成は、現状、高校入試で十分に学力が高い層が入ってくる。そのため、中学入学組との間にカーストができない。高2から中学入学組と高校入学組が一緒のクラスになるが、混じり合いワイワイと仲良くなるという。ようは現在、高校入試がうまくいっているから、その廃止を検討することはないのだが、一方で、「危機感はあるはず」という意見もある。

 先に紹介したコメントの中で「埼玉の県立難関高校と開成の両方に合格すると、後者に行くケースもまだまだあります」とあった。つまり、逆にいうと、開成に受かっても県立高校に行くケースも増えているのだ。公立の上位層の高校は税金が投入され、塾に行かずに大学受験ができるカリキュラムになっているところがほとんどだ。特に都立日比谷は独自カリキュラムで非常に人気が高い。

「現在、都内の高校入試は日比谷一強になりつつあり、入学は非常に難しくなっています」(都内公立中学教職員)