猫好きにとって、テレビに出る「ノンフィクションじゃない猫」を見る目はたいへん厳しい。いや、猫そのものには甘いんだけど猫を出してくるシチュエーションに厳しいんだ。でもいっぱい猫が出てくるとなると好きなもんだからつい見ちゃう。『ブランケット・キャッツ』もそう。そしてイライラする。
そもそも家具屋の主人(西島秀俊)が、妻に死なれて七匹の飼い猫の里親を探すってとこがもう、猫飼いとして納得がいかん。家具屋でずっと家にいてひとりで面倒見てるだろお前。充分飼えるんだよ。
まあこのシチュエーションは、猫をもらいに来る人との出会いのために設定されてるわけで、そこはこらえよう。
だが。猫をもらいに来る人の、猫との接し方もいろいろなっちゃない。たとえば、内気な中学生の息子が、親と言い争った挙句、親が猫を外に追い出してしまった。猫飼いならここは「猫を追う」一択である。家猫が外に出て帰ってこられなくなったらどうする。事故にあったらどうする。あらゆる悪いことしか思い浮かばない。なのに、息子は父親に殴りかかるのだ! ケンカ始めた! ちがうだろう息子! 猫追えよ! 猫をきっかけに話を転がすならもうちょっと気を遣ってくれ。
そこは猫本人に頑張ってもらおうということなのか、この『ブランケット・キャッツ』に出てくる猫、プロダクションから調達してきてるんだろうが、ありえないほどの「聞き分けの良さ」であり、驚異の俳優ぶりなのだ。とくに、内気中学生息子が抱き方もよく心得てないからへんな体勢で抱かれてるのに「じいーーーっ」とおとなしくしている、赤ブチの猫。あ、ありえない、あんな猫! しかし現実なんだ。その赤ブチはちょっと剥製っぽい毛並みの猫なのでつい作り物かと疑いたくなるが。
いくらイライラしても、すごい猫たちを目当てに見てしまう『ブランケット・キャッツ』ですが、気づかずに見ていた島崎遥香の動物病院看護師が良いというのも「つい見る」気持ちをかきたてる。すごく脇役としてしっくりくる、うるさくないのにちゃんと可愛い。AKB時代はちっとも魅力がわかんなかったけど女優だといいじゃん。ただし、猫を触る手つきは「多少のこわごわ」があってそれはイカン。握手会のつもりでもっと猫に親しんでもらいたい。しかし彼女は握手会の塩対応で有名だった……。
▼『ブランケット・キャッツ』
NHK総合 金 22:00〜22:49