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ハゲはほんとに治るのか?#1 「薄毛治療の第一人者が20年間飲み続けている薬」

「このハゲ──ッ!」がグサッと胸に刺さったら 

2017/08/13
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治療を始めたら、同級生がハゲていって追い越していった

──なるほど。どの人も、薬で髪が増えるわけではないんですね。薄毛だったのが、ハゲとは言えないくらい回復される方は、どれくらいですか?

佐藤 2、3割ぐらいです。4人に1人といったところでしょうか。でも、(パソコンの写真を示しながら)、この方なんかは33歳で薄毛が始まったんですが、薬を飲み続けて、同じ状態をずっと維持しています。もし薬を飲まなかったら、40前にヤカン(ツルツル)ですよ。もう当院に通い続けて15年ほどになり、現在50前になられましたが、同級生がハゲていって、追い越していったと話していました(笑)。

33歳で薄毛が始まった男性。10年間同じ状態をキープしている 写真提供:佐藤明男

──つまり、同じ状態を維持しているだけでも、薄毛治療としては意味があるということですね。でも、客観的には「効果あり」と判定されたとしても、「『不変』では満足できない」という人もいませんか?

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佐藤 それについても調べたことがあります。治療して10年超えた人を対象に、10点法で満足度をたずねる調査を行ったところ、「治療をやってよかった」という項目の平均点が7.5点でした。「今後も治療を継続したい」という項目の平均点も8.3点だったので、かなり高い満足度だったと言えると思います。

──治療を継続している人の7~8割は、効果に満足しているということですか。でも、満足できる効果を得るためには、どれくらいの期間、薬を飲み続ける必要があるんでしょうか。

佐藤 髪の毛が必要な間ですよね。50歳ぐらいで治療を始めた人の中には、もうすぐ定年になるし、千葉とか神奈川とか遠いところから通っているので、そろそろ治療をやめようかという人もいます。

治療歴10年をこえた人の満足度は7~8割 ©佐藤亘/文藝春秋

──でも、薬を飲むのをやめたら、どんどん薄くなってしまうんですよね。

佐藤 どんどん、ということではないですけど、徐々に薄くなっていきます。でも、治療の動機は対人的なものですから、仕事をやめてあまり人と会わない立場になれば、髪の毛はもう要らないとなりますよね。

佐藤明男(さとう・あきお)
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。98年、英国オックスフォード大学に留学後、フィナステリドによる薄毛治療を国内でいち早く開始する。これまでに7000人を超えるAGA患者を治療。北里大学医学部寄附講座再生医療形成外科学特任教授なども兼任し、毛髪の再生医療研究にも取り組んでいる。『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』(幻冬舎新書)など著書多数。東京メモリアルクリニック・平山院長。http://www.clinic-hirayama.com/

ハゲはほんとに治るのか#2「女性は男の薄毛をどれだけ許容してくれるか問題」〉に続く

ハゲはほんとに治るのか?#1 「薄毛治療の第一人者が20年間飲み続けている薬」

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