『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司 著)

 日本が少子高齢社会であることはもはや常識だが、その怖さを具体的に意識できている人がどれだけいるだろう。そんな漠然とした不安に明確な輪郭を与える新書が、爆発的ヒット中だ。主に参照されているのが、国立社会保障・人口問題研究所の〈日本の将来推計人口〉データ。

「今年4月に5年ぶりに公表された最新データを駆使した本は、これが初です」(担当編集者)

 そこから推測される諸問題が年表形式で具体的に記される。たとえば〈2033 空き家が2167万戸を数え、3戸に1戸は人が住まなくなる〉〈2039 死亡者数が167万9000人とピークを迎え、火葬場不足が深刻化する〉など。大げさに感じるかもしれないが、将来推計人口のデータは確度の高さで知られており、どれも現実的な予測だという。

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「抽象的なデータを、イメージしやすい実例に落とし込んだことが、ヒットの要因のひとつだと思います」(同前)

 厳しい分析が多いが、新たな発想のヒントにも。

「たとえば出版界で考えると、少子化が進み、女性の高齢者の割合がどんどん増えていくのであれば、そこをメインターゲットにした本を作ることが商機に繋がると考えられます。そんな風に10年後、20年後の社会の変化を見据えたビジネスを考えるための“タネ”が多く詰まった本だと自負しています」(同前)

2017年6月発売。初版1万2000部。現在10刷14万部