1ページ目から読む
2/3ページ目
熾烈なデモにポップスをかぶせる『サニー 永遠の仲間たち』
韓国の現代史はデモの歴史でもある。絶えず学生を中心とした抵抗運動があった。朴正煕暗殺後盛り上がった民主化運動の高まりのなか、全斗煥率いる軍部はクーデターを起こし、1980年に光州事件を引き起こした。後には消費文化を推し進めることで庶民の関心をそらせる試みも行われたが、それでもデモは止まなかった。
『サニー 永遠の仲間たち』(カン・ヒョンチョル監督、2011年)の舞台はその時代だ(Netflix、Amazon Prime Videoで視聴可能)。主人公たち女子校生がソウルの街中で遊んでいるなか、ライバルグループと鉢合わせてケンカになるのと同時に、たまたま起こっていたデモが警官隊と衝突し、主人公たちもその騒ぎに入り混じってしまうさまがコミカルに描かれる。BGMは80年代ポップスのヒット曲、Joyの「Touch by Touch」(1986年リリース)だ。闘う学生たちと呑気な音楽のギャップが強烈だが、これが当時の風景だったのだろう。
平凡な学生の目線で民主化運動を追体験『1987、ある闘いの真実』
1987年に民主化運動が頂点に達し、憲法が改正され、大統領直接選挙が認められる。その顛末を描いた『1987、ある闘いの真実』(チャン・ジュナン監督、2017年)では、新聞記者やデモに立ち上がる学生までさまざまな人々のストーリーが交錯するが、それまで社会に関心がなかった女子学生が、思わぬ事情により運動の渦中に巻き込まれ、重要な役割を果たすという架空の設定を入れることで、現代の私たちが時代を追体験するような効果を生んでいる(Amazon Prime Videoで視聴可能)。