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「今にしてみれば考えすぎていた頃だった」という落語家・柳家三三さんの“40歳のころ”

note

「自分が聴いてただただ楽しいと思える落語家になろう」

――「好き」の原点に戻れたんですね。

三三 それで気づいたんですね、いつの間にか自分の落語が、自分の聴きたくない落語になっていたなと。落語好きの自分だったら「邪魔だな」と思う個性だとか、らしさだとか、こういう言葉でもっとお客様を笑わせてやろう、思い通りの反応を引き出したい、という考えが自分の落語に入り込んでいた。そうじゃなくて、自分が聴いてただただ楽しいと思える落語家になろうと思ったら、力が抜けていったんでしょうね。

 

 今も寄席の舞台袖で、いろんな師匠方の落語を聴いてるだけで楽しいですもん。タダどころか、こっちは金もらって聴けるなんて悪いなあ、なんて思いながら。

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――そういえば三三さんが寄席の舞台袖でピョンピョン跳ねてから高座に上がる姿を拝見したことがあるんですが、あれはルーティンのようなものなんですか?

三三 ああ、ダンッて床に足を踏ん張って力を入れてから高座に出ようってやってたんですけど、それで膝を痛くしちゃったんですよ。それ以来やってないです(笑)。40を過ぎてからの変化って、それくらいなもんですよ。

                          写真=末永裕樹/文藝春秋

「文春落語」独演会のようす 千代田区麹町の文藝春秋地下ホールにて

 

INFORMATION

このインタビューは2020年2月20日に開催された第2回「文春落語」の独演会の前に行われました。この日の演目は「三人旅」「鰍沢」「粗忽の釘」。会場は和やかな笑いに包まれていました。

次回の文春落語 2020年4月13日(月)桃月庵白酒 開演:19時

詳しくはこちらからhttps://bunshunrakugo.com/

「今にしてみれば考えすぎていた頃だった」という落語家・柳家三三さんの“40歳のころ”

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