安倍晋三 首相
「お互いに学生時代からその後、それぞれの立場は変わりましたが、立場を利用して何かをしようとしたことは本当に一回もない。だからこそ私は40年も親しい友人であり続けることができたのだと思います」
NHK「ニュースウォッチ9」8月3日
加計学園問題をめぐる閉会中審査で、安倍首相が語った言葉「申請を知ったということにつきましては、先ほど申し上げましたように、1月20日の特区諮問会議でございます」が波紋を呼んでいる。40年にわたって密接な付き合いを続ける“腹心の友”加計学園の加計孝太郎理事長から獣医学部新設についてまったく聞いたことがなかったというのだから無理もない。
冒頭の言葉は、内閣改造の後、NHK「ニュースウォッチ9」に生出演した際、桑子真帆アナウンサーからの「(獣医学部新設について)話を聞いていないとすると、ゴルフや食事しているとき、普段はどのような話をしているのか?」という質問に対する安倍首相の答え。言葉どおり受け取ると、たしかに正論だと思う。相手の立場を利用することばかり考える友情は長続きしまい。
教授職をあてがわれて「落選中助かった」と新聞に語っていたのに
しかし、安倍首相の最側近である萩生田光一幹事長代行は09年の総選挙で落選して以降、千葉科学大学危機管理学部で客員教授を務め、「浪人中の足しになった。助かった」と語っている(朝日新聞 2013年7月1日夕刊)。下村博文元文科相のもとには学園の秘書室長が日常的に出入りして献金を斡旋していた。09年の衆院選では、安倍首相や塩崎恭久氏の選挙事務所に加計学園の職員を派遣して問題になったことが発覚している(『週刊文春』8月10日号)。とても「昔話やたわいのない話」(NHK「ニュースウォッチ9」8月3日)ばかりに興じているとは思えない。
加計孝太郎 加計学園理事長
「本当に酷い目に遭ってるよ。なんも悪いことしてないのにさぁ」
『週刊新潮』8月10日号
7月29日、千葉県銚子市内で行われた加計学園理事長、加計孝太郎氏の誕生会の酒席での発言。獣医学部新設をめぐる問題が主要テーマとなった国会の閉会中審査にも顔を出さなかった加計氏だが、身内の前ではホロ酔いで愚痴をこぼしていたらしい。
身の潔白を主張する割に、店には厳戒態勢が敷かれ、出入り口には見張り役が数人も置かれる物々しさ。翌朝も『週刊新潮』の記者の姿を見るや、慌てて踵を返したという。自らに恥じる点がないのであれば、公の場に出てきて堂々と主張するべきだろう。安倍政権の支持者が絶賛する加戸守行前愛媛県知事を見習ったほうがいい。