文春オンライン

「仕事人内閣」発足! 今週の末期的珍言を総ざらい

元首相までが「恥ずかしい。国家の破滅に近づいている」

2017/08/05
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籠池泰典 森友学園前理事長
「私は逮捕されるが、そのことで国民が、安倍政権をますます見放すことになれば本望だ」

ハフィントンポスト 8月2日

 大阪地検特捜部は7月27日の1回目に続いて7月31日に2回目の任意聴取を行い、国や大阪府の補助金を不正受給した詐欺の疑いで籠池泰典森友学園前理事長と妻の諄子の両容疑者を逮捕した。安倍昭恵首相夫人と親交を深めて名誉校長に就任してもらい、園児たちに「安倍首相頑張れ! 安倍首相頑張れ! 安保法制、国会通過よかったです」と言わせていた頃から2年も経っていない。かつては安倍首相も森友学園の教育方針を「素晴らしい」「私の考え方に非常に共鳴している」と絶賛していた。

 冒頭の言葉は、ジャーナリスト・伊藤博敏氏が7月上旬に行ったインタビューの締めくくりに発せられたもの。籠池氏は伊藤氏に対して次のように語っている。

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「神風が吹いた、と言って過言ではないほど小学校の認可と建設は順調に進んだ。ところが、それに関与した人たちが、今年の2月下旬以降、掌返しで離反していき、その結果、中断に追い込まれてしまった。誰が、そう仕向けたのか。財務省理財局や大阪府の松井一郎知事を動かせるだけの力を持っているのは、安倍さんしかいない」

「籠池は葬り、加計は助ける」

実際、今年2月から安倍首相は手のひらを返したように籠池氏に対して冷淡な態度を取るようになった。しかし、同時に森友学園問題への疑惑が増すにつれ、安倍政権の支持率は落ちていった。籠池氏の「本望」どおりになったということになる。

出頭する籠池氏。「籠池は葬り、加計は助ける──」の明暗がくっきり分かれた。 

「籠池は葬り、加計は助ける――。その違いが、安倍政権と安倍首相個人との手前勝手な『距離感』『都合』でしかないことに国民は気付いている」と伊藤氏は指摘する。国会に証人喚問された籠池氏に対して、加計孝太郎理事長は公の場に一切姿を現していない。そのことが安倍政権のさらなる支持率低下を招き、籠池氏の「本望」に近づくのは皮肉である。

稲田朋美 前防衛相
「皆さんは私の誇りです。これからも日本の安全保障のために一緒にがんばりましょう」

日テレNEWS24 7月31日

 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の日報問題で辞任した稲田朋美前防衛相が7月31日、離任式に出席した。冒頭の言葉は防衛省を去るときに稲田氏が語ったもの。不祥事をいくつも重ねて辞任した大臣の言葉とは思えない。離任式で見せた稲田氏の晴れやかな笑顔も注目を浴びた。

「離任式を辞退すると思った。驚きだ」

 日報問題について「危機感をもって再発防止策を実施していかなければならない」と訴えた稲田氏だが、自らの責任には言及せず、反省や謝罪の言葉もなかった。他人事か。防衛官僚や自衛官からは「稲田氏は離任式を辞退すると思った。驚きだ」(読売新聞 7月31日)、「すべて自衛官が悪いのか。まず自分が謝罪すべき」(日刊ゲンダイDIGITAL 8月1日)、「最後まで現場の気持ちが分からない人だった」(毎日新聞 8月2日)という声が漏れた。

自衛官が「辞退すると思った」という離任式でこの稲田前防衛相の晴れやかな笑顔!  ©時事通信社

「風通しのよい組織文化を醸成し、いっそうの連携強化を図り、防衛省自衛隊が一致団結していかなる困難な状況にも対応できるようにしてもらいたい」と離任式で語った稲田氏だが、日報隠蔽問題をめぐる閉会中審査に関して、自民党は民進党が求める稲田氏の参考人招致に応じない考えを伝えた。風通し悪いよ!

どんな不祥事を起こしても辞任したらチャラなの?

 自民党の竹下亘国対委員長(当時)は「(辞任という)一番重い責任の取り方をした。辞任した閣僚を国会に呼び出すことはやってはいけない」と説明したが(東京新聞 8月1日)、なんでそうなるの? どんな不祥事を起こしても辞任すればチャラ? 竹下さんも毎回同じことを言っているような気がする。共産党の小池晃書記局長は「稲田氏の辞任は結局、最悪の隠蔽工作だったと言わざるを得ない」と批判した。ちなみに2002年2月には辞任した田中真紀子元外相が在職中の職務に関する参考人招致に応じている。

 稲田氏は、党に戻ったら憲法改正に取り組みたいと意欲を燃やしているらしい(『週刊新潮』8月10日号)。それを耳にした大島理森衆院議長は「なにをバカなことを!」と激怒したとか。たしかに稲田氏が関わったら、うまくいくこともうまくいかなくなる可能性がある。