―― 最初にビットコインのアイデアを聞いた時に、社会の中でインフラとして根付くなという予感はありましたか?
小川 ありました。感覚的なんですけど、今の世の中はどんどん二極化が進行している。歴史を紐解くと、中国文明もエジプト文明も二極化することで崩壊しているんです。ビットコインは、史上初めて国家が管理していない通貨です。そういう民主的な通貨が生まれれば、先進国も発展途上国も、大企業も一個人もフラットになる、ポスト資本主義の新しいかたちを提示できるかもしれないと思っていました。
―― ビットコインを知ったのはいつぐらいですか?
小川 2012年とか2013年ぐらいかな。
―― わりと早い段階ですね。
小川 はい。シリコンバレーに行く前後ですね。2012年には数百円だった1ビットコインが、2013年の年末に急騰して、一時期10万円を超えていた(※現在は1ビットコインが約30万円)。そこから一度暴落したんですが。ただ、僕がビットコインを買い始めたのは2014年でしたね。
殺到するユーザー審査は「超大変」
―― 現在、VALUに登録しているユーザーは何人ぐらいですか?
小川 ユーザー数は約4万人になりました。そのうち上場しているのは14000人ほどです。ローンチして2カ月で急に増えましたけれど、自分たちでもこのスピードは予想外でした。
―― 予想していなかった?
小川 想像は超えてます。かなり超えてます。当初、数百人しか使わないんじゃないかなと思っていました。それがプロモーションを一切せずに4万人まで伸びたので……。
―― VALUでは、個人が「上場」する際にFacebookやTwitterなどをベースとした審査があります。これだけ急速にユーザーが増えてくると、かなり大変な作業でしょうね。
小川 超大変です。当初は僕も含めてその場のメンバーが交代しながらやっていたんですけど、最近ようやく常時2人は申請に対応できるような体制になりました。ローンチ直後は、審査で3週間待ちというケースもありましたが、1週間以内には可否のご連絡を出せるようになりました。
―― その際の評価基準や注目ポイントは、どういったところなのでしょうか。
小川 基本的には本名がFacebookに載っていること。かつ、情報商材とかマルチビジネスを扱っていないことの2点が基準です。あとは、そもそも非公開設定にされている方はジャッジのしようがないので棄却しています。公開した上で再度申請してくださいと。
―― 審査などを通じて、「こんなことをやってる人がいたんだ」という驚きや新しい発見はありますか?
小川 たくさんありますよ。例えば、アフリカでペイントアートをやっている方がいますね。脱サラしてアフリカに1年間ぐらい住みながら、そこで描いた絵をシェアしているんです。「プロのコスプレーヤーとして活動したい」という女性もいますし、地元を盛り上げるために地方活性化のイベントを打っている人とか。あとは、タイ在住でVALUを通じて資金調達して、東南アジアの孤児院に寄付金を回している人もいましたね。「いろんな使い方ができるな」という実感は、審査を通じてヒシヒシと感じます。だから、あえて使い方を固定しなくてよかったかなと今では思っています。