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ドクターが手袋一枚で外傷患者に触れるのは有り得ない

「あと数十秒で死亡するという状況下の手術にも拘わらず、患者の体を覆うドレープ(手術を行う部分に穴のあいたカバー)が丁寧に掛けられていたのには違和感を感じました。緊急オペですし、雑にかけられていても良かったです。

 そんな状況なので、オペ室は執刀する脳外科医以外にも、麻酔科医や救急医が血圧・心拍などのバイタルを確認し輸血するなどもっと騒然としているはずです。周辺の状況を描かないことで主人公は引き立ちますが、チーム医療が重要視される現代ですから、他の医師やコメディカル(医師・看護師以外の医療従事者)も描くべきと思っている医療関係者は多いでしょう」(大学病院外科医)

 演出を重視するが故の“トンデモ”医療シーンもあるようだ。同じく第1話の急患のシーンについて前出の脳神経外科関係者はこう指摘する。

「屋上で救急のヘリから患者を引き継ぐ医師たちのスタンダードプリコーション(標準予防策)があまりにもなっていなかったのがナンセンスでした。看護師はガウンを着てマスクをつけていましたが、ドクターたちが手袋一枚で外傷患者に触れていた。これは感染症予防の観点から有り得ないです。俳優たちの顔を隠さないという意味でマスク無しは許容できますが、これが本当だったら『こんな低レベルな態勢で患者を受け入れているのか』と言われてしまいかねません」

外回り看護師の存在は描かれていないことが多い

 “トップナイフ”たちの奮闘を支える看護師は、若手ながら優秀な小沢(森田望智)とベテランの犬飼(福士誠治)の2人。彼らは主に病室で患者を受け持つ病棟看護師だが、「手術室にいるべき看護師の姿がない」と苦言を呈するのは、ベテランの看護関係者だ。

「手術に関わる看護師にはメスなどの機械を医師に渡す機械出し看護師と、手術記録を作成したり外部との連絡をとる外回り看護師がいます。しかし手術シーンを見ていると外回り看護師の存在は描かれていないことが多い。脳外科では手術が全てといっても過言ではないので、外回りの存在も描いてほしい」

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「ドクターX」のように一匹狼の天才ではなく、チーム医療の現場をドラマで描くには、まだまだ課題が多そうだ。