2020年冬のドラマは、6本の医療ドラマが放送されている。“王道”路線から、実話リアル路線まで、実際の医療従事者たちの生の声をもとに今期の医療ドラマを分析する後編!

前編「天海祐希「トップナイフ」は“頭蓋骨の粉が舞う”リアル路線 医療ドラマのウソ・ホント」よりつづく)

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「逃げるは恥だが役に立つ」や「わたし、定時で帰ります。」など、女性をターゲットにしてきたTBSの火曜22時枠では、佐藤健演じるドS医師と上白石萌音演じる新米看護師のドタバタラブストーリー「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)が若者に人気を博している。

主演の上白石萌音と佐藤健(「恋はつづくよどこまでも」TBS系より)

「恋つづ」SNSフォロワー数は圧倒的だが、イソジン消毒は×

 エリート医師の天堂(佐藤)と高校の修学旅行で出会ったことをきっかけに看護師となった佐倉(上白石)が恋も仕事も一生懸命に頑張る様子を描いたこのドラマは、平均10%を超える高視聴率。各医療ドラマの公式SNSを見ても、「恋つづ」以外のSNSフォロワー数が平均1~2万人程度なのに対し、「恋つづ」はTwitterが22万人、Instagramは約55万人と、その人気ぶりがうかがえる。

 しかし、医療シーンは実態と大きくかけ離れているという。第1話の病棟回診時、佐倉が男性患者の腕を丁寧に消毒する場面。消毒に使用したピンセットを使いまわしてしまい、先輩看護師に怒られていたが、「そもそも消毒するのが間違い」と指摘するのは形成外科関係者だ。

イソジン消毒は現在は行われていない医療行為だが……(「恋はつづくよどこまでも」TBS系より)

「おそらく患部に塗っていたのはイソジンでしょう。ですが基本的に傷を消毒するのは現在では行われていない医療行為です。組織が挫滅している創(損傷部)にイソジンをつけたら細菌以外にも傷を治そうとする細胞が死滅してしまい、治るものも治りません。現代では、泡立てた石鹸で優しく撫で洗いしてよく流し、軟膏をつけて湿潤環境を作るのが一般的です」