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病棟看護師は手術も外回りも担当しないもの

 また、感染症予防の最新常識が反映されていない場面もあった。

「医療の現場では、減菌などの処理がされた状態を“清潔”と言い、それ以外を“不潔”とする重要な区別があります。患者のベッド脇で注射を打つシーンで、包交車(ガーゼやピンセットを入れるカート)が登場していましたが、最近では意識的に使わないようにしている道具なんです。包交車は全ての患者を診るのに使われますし、“不潔”の手袋で触られることも多く、感染の温床となるので……。針捨てボックスをカートの一番上に置いてガラガラと病室を回るというのは、一昔前の感染症予防の意識が低かった頃の話です」(同前)

劇中で登場した包交車(看護師の右)。赤い「針捨てボックス」が上に置かれている(「恋はつづくよどこまでも」TBS系より)

 第2話では、佐倉が担当していた男性患者の容体が急変し、アブレーションというカテーテル治療を急遽行うことになる。佐倉は張り切って「私にも何かできることがあれば!」とサポートしようとするも、天堂は佐倉よりも優秀な酒井(吉川愛)を外回り看護師として指名し、佐倉は己の不甲斐なさに打ちのめされる。そこでも不可解な演出があったという。

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「基本的に病棟看護師は手術を担当しません。天堂先生も張り切る佐倉に『今のお前には無理だ』と冷たく言い放っていましたが、技術的な問題ではなく、そもそも請け負う業務が手術と病棟では違うんです。佐倉の代わりに外回りに指名された同期の彼女も、同じく病棟看護師なので外回りはできません」(同前)

Twitterトレンド入りするも現実離れの「恋つづ」天堂先生

 医療従事者からの声は厳しいが、放送後にはTwitterで「天堂先生」がトレンド入りするほど、恋愛ドラマとしては好調だ。しかし天堂先生と実際の若手医師像の乖離は大きい。

天童先生役の佐藤健 ©️時事通信社

「天堂先生は33歳ですが、33歳の医師は基本的にまだまだ“若手”です。病院のソファや椅子で仮眠をとりながら土日も泊まり込んで必死に勉強をしているのが30代前半の医師。天堂先生は天才なので全国を飛び回って講演会などもスマートにこなしていますが、普通だったら先輩医師に怒られながら勉強している世代でしょう。看護師と恋愛する余裕はないですね。病院によっては、同じ科で恋愛関係になったスタッフ同士は別の科に異動になる場合もあります」(医療関係者)