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天海祐希「トップナイフ」“頭蓋骨の粉が舞う”手術シーンは実臨床としても一見の価値アリ

天海祐希「トップナイフ」“頭蓋骨の粉が舞う”手術シーンは実臨床としても一見の価値アリ

医師が見た医療ドラマのウソ・ホント【前編】

source : 週刊文春デジタル

genre : エンタメ, 医療, テレビ・ラジオ, 芸能, 社会

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病院経営の基礎知識が盛り込まれた「病院の治しかた」

 実在する病院の経営再生ストーリーを、テレ東の経済ドラマ「ドラマBiz」枠で放送しているのは、「病院の治しかた ドクター有原の挑戦」だ。平昌五輪のスピードスケート女子500mで金メダルを獲得した小平奈緒選手が所属している、長野県の相澤病院がモデルになっている。

 主演は小泉孝太郎。東京の大学病院に勤務するエリート内科医だったが、父が倒れたことをきっかけに倒産寸前の病院を継ぐことになる。銀行の融資担当・倉嶋亮介(高嶋政伸)を相棒に、病院が奇跡的な復活を遂げるまでを描くが、「実話をベースにしているだけあり、病院経営の基礎知識がまんべんなく盛り込まれている」と語るのは、病院経営コンサルタントだ。

小泉孝太郎主演「病院の治しかた ドクター有原の挑戦」(テレビ東京系)より

「人件費率は58%」は相当リアルな数字

「有原(小泉)が第1話で病院のコスト管理の改善に必要だと言っていた2つのポイントは、『医療材料の標準化』と『診療科目の削減』でした。これらは実際のコンサルティングでも基本のセオリーです。また、有原総合病院の問題点を指摘する倉嶋が『(うちの病院の)人件費率は58%ですが、黒字経営の病院では55%程度(なのでそこまで抑えないといけない)』と言っていました。人件費は病院経営で一番大きな割合を占めていて、病院にもよりますが大体50~60%程度です。倉嶋が言っていたことも非常に理にかなっていて相当リアルな数字だと思います」

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 経済ドラマなだけあって、専門家から見てもリアリティ溢れる設定だ。しかし、医療ドラマとしてはどうか。循環器内科専門医でもある前出の宮田和明医師はこう指摘する。

「第1話で、病院に駆けつけた有原が、激しい胸の痛みを訴える患者を『突発性(とっぱつせい)』食道破裂の可能性が高いと発言するシーンがありますが、この病状は正しくは『特発性(とくはつせい)』食道破裂です。些細なことですが、両者は意味が異なるので、ここは正確な医学用語を発言してほしかったとは思います」

 また、有原の父親・正太郎(大和田伸也)が亡くなるシーン。

「『脈拍触知不能です』と医師が有原に告げた後に、正太郎が『有原の手を握り、目をカッと見開き、しかも有原の方に頭を動かす』という動きがありましたが、これはかなり誇張されていますね。仰向けに寝ている患者さんが『頭を自力で動かすことができる』というのは、大変重要なサインでして、亡くなる寸前の『脈拍触知不能』の患者さんの一連の動作としては極めて不自然です。ただ、親が息子に最期に何かを伝えたいという、ドラマの感動的なワンシーンとしては必要なのかもしれません」(同前)

「病院の治しかた」(テレビ東京系)で有原の父親を演じた大和田伸也

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天海祐希「トップナイフ」“頭蓋骨の粉が舞う”手術シーンは実臨床としても一見の価値アリ

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