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金融機関が口をつぐんでいると突き止めるのは難しい
結果、相続するどころか、1人200万円ずつ父親の連帯保証の返済をすることになってしまいました。ただそれでも、3人には、多くの人に慕われてその人たちのために連帯保証人にまでなった父親に対して、恨む気持ちはなかったようです。
この事案を担当した税理士に話を聞くと、このように言っていました。
「故人が亡くなってすぐは、ご遺族と相続などの生々しい話はあまりできないのが通常です。ですから、家族の気持ちが落ち着く時期である四十九日の法要の席などで相続をどうするかという話が出るケースが多い。
ただ、金融機関が口をつぐんでいると、そこから約1カ月の間に故人に債務があることを突き止めるというのは難しいでしょう。
ですから、やはり債務がある場合には、生前にそのことをご本人から家族に伝えていただいていないと相続放棄は難しいのです」
この記事は『最強の相続』(文春新書)「意図的に隠された故人の “連帯保証” 」を転載しています。まだまだある「こんなの想定外!」な事例の数々を本書でご覧ください。