「無制限に受け入れると『個性的過ぎる学生』が出現し、人事に質問できるリアルタイムチャットが荒れるリスクがあるからでしょう」
またWEB会社説明会の課題はそれだけではないようだ。就活生が話してくれた。
「WEB合同企業説明会では企業との“偶然の出会い”がありません。リアル合説で志望企業を見つけようと思っていた私には痛手です」(女性・21歳)
「WEB説明会では会社の雰囲気や社員の人柄までわからないので残念です」(女性・21歳)
「WEB面接は電波状態が心配だし、面接官の反応がわかりにくいので、やりにくいです。そもそもどこを見たらいいかわからないし」(男性・21歳)
このようにWEBでの説明会、またWEB面接も万能ではない。マイナビ「新型コロナウイルス感染拡大に対する就職活動実態調査」(3月1~5日実施)では「会社説明会はWEB化してもいいが、1次面接以降は対面での実施が望ましい」と回答する学生の割合が49.2%で最多だった。「説明会から最終面接までWEB化してもかまわない」という回答は16.3%だった。
多数の就活生がリアルな接点を望んでいることがうかがえる。
例年以上の“短期決戦”のワケ
じつは今年の就活生がこのように不満、不安を感じるのはやむを得ない部分もある。というのは2020年は就活にとって“特殊な年”だからだ。
東京オリンピックが7月24日から開催されることから、遅くとも7月上旬までには採用を終わらせたい、と多くの企業の人事は考えているのだ。新型コロナで仮に数週間、採用活動が延期されたとしても、デッドラインが決まっている以上、後ろにずらすわけにはいかない。よって例年以上の短期決戦が想定されているのだ。
「短期決戦となれば、選考日時が重なってしまい、受けられる企業が減るのではと心配です」(女性・21歳)
「短期の一発勝負では、緊張で実力を出せるか不安です」(女性21歳)
そんな心配をする就活生もいる。
「100名の学生と人事全員がマスク」の説明会
しかし、私が強調しておきたいのはオリンピックをデッドラインにしているのはあくまで人気企業、大手企業のケースということだ。実は、中堅中小企業の中にはオリンピック・パラリンピック終了後まで長期化することを、今から覚悟している企業もある。そしてそういった企業のなかには、現在も採用活動を変更、延期していない企業も存在する。