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 私が50名以上の就活生、人事からヒアリングしたところ、IT、精密機器、食品、日用品、雑貨、不動産、専門商社、小売、外食、地銀、地方放送局、調査会社、ホテル、アパレルなど、一部の大手から中小ではWEB対応をせず、採用活動を継続していた。つまり従来どおりに対面で会社説明会を行い、対面で面接を実施している。

 実際にある企業の説明会に参加した学生はこう言う。

「100名弱の学生と人事全員がマスクをしてました。私は参加学生がもっと少ないと思っていたので驚きました。時々、換気をして、消毒液で手を消毒し、ちょっと異様な雰囲気でした。人事の方も戸惑っているようで、コロナで実施を迷ったが来てくれて感謝するとおっしゃってました」

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 このような状況でも説明会をおこなうのはなぜなのだろうか? ある大手子会社の採用担当者はこう話す。

「今は非常に重要な時期です。3月1日の解禁直後は例年、優秀な学生がたくさん説明会に来てくれます。そして時期が遅くなるにつれ、優秀な人はどんどん減り、ぼんやりした学生が増えてしまう。よって一定数の学生を対象に継続しています」

 マスク、消毒液、換気、学生同士の間隔を置く、参加者数を限定する……などの新型コロナ対策への配慮をしながら、対面で採用をしているという。

©iStock.com

すでに“学生間の格差”が広がっている

 そんな状況を理解している冷静な就活生もいる。

「さほど影響は感じていません。延期する企業もありますが、条件は他の学生も同じですから、焦っても意味がないと思います。今のうちにエントリーシートをじっくり作成しようと思っています」(女性・21歳)
「時間的に余裕のある3月のうちに、面接を何度か経験しようと考え、対面で面接してくれる企業のエントリーを増やしました。その後の本命企業のための練習です」(男性・22歳)

 このように戦略的に考えられる就活生には特徴がある。大学3年生の夏からインターンシップに参加し、その後早期選考を経験し、人事の考え方をよく知っているのだ。中には既に内定を得ている人もいる。

 新型コロナとオリンピックーー就活生にとって今年は受難の年だ。それゆえに、着実に準備をした学生と、そうでない学生の差が、既につき始めている。