「日本の政治的意図は明らかなのですから、韓国はもっと冷静に対応すべきでした。同じような措置をとるにしても、『ダイヤモンド・プリンセス号での防疫の失敗や、検査数が不十分であるなど、防疫システムの欠陥が指摘されている日本からの入国を制限する』といったような理由をあげていれば、WHOからの警告ももう少し違っていたかもしれない。そもそも韓国は新型コロナウイルス対策では国際社会から認められていますから」(前出記者)
4月に行われる総選挙(国会議員選挙)で与党を有利に導くための“反日”を打ち出すことではないかという声も上がるが、「うーん、微妙でしょうね」と前出の記者は言う。ちなみに文在寅大統領の3月第1週の支持率は「新型コロナ対策をうまくやっている」として2ポイントアップし(44%)、不支持率は3ポイント下がっている(48%、世論調査会社「韓国ギャラップ」)。
「ビザ停止ってどういうこと?」在韓邦人の動揺
日韓の唐突な入国制限措置には筆者も含め、在韓邦人も動揺した。ビザ停止というのは何を意味するのか、在韓邦人は日本に帰国しなければいけないのか。そうではないのであれば、一時帰国する際は在韓邦人も14日間隔離されるのか。されるのであれば、施設が提供されるのか、公共交通機関を利用してはいけないということは、乗用車などを自分たちで調達しろということなのかなど、疑問がいくつも湧いてくる。
在韓日本大使館に連絡しても、「詳しいことは分かりません」という返事のみで、知り合いの日本人に連絡しても不安な声が返ってくるばかり。
入国制限が発表された翌日の午後、在韓日本大使館から厚生労働省の「水際対策の抜本的強化に関するQ&A」が記載されているURLを知らせるメールが届いた。開いてみると、つまりは一時帰国する在韓邦人も適用対象で、隔離場所は日本の自宅かホテルなど、移動手段もともかく自分たちで準備し、それらはすべて自己負担しろ、という内容。
観光以外で往来するとなれば、仕事や家庭の事情で往来する人がほとんどだろう。こんな条件では相当な負担になるし、事実上、往来するな、と言っているようにも見える。
日本人留学生が大学から帰国を促されるケースも
韓国の大学に留学していた日本人留学生の中には大学からの要請で日本に戻ることになる学生もおり、こう嘆く。
「留学して半年経って韓国での生活にもようやく慣れて友だちもできてきた。韓国語も少しできるようになったし、英語では負けていた韓国人学生をぎゃふんといわせてやろうと休みの間に英語もかなり勉強したのに……。自分の意志とは関係なく戻らなくちゃいけなくなって悔しい」