「入国規制は有益ではない」 

 日本と韓国は、互いに課した入国規制が政治的な争いだとして、WHOにこう戒められた。 

 日本が5日、中韓からの入国者を制限することを発表すると、翌6日には、今度は韓国が日本から韓国への入国を制限する「相応措置」をとると発表した。 

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仁川空港で検査を受ける入国者たち ©AFP/アフロ

“ついでに”韓国も対象にしたのでは、という見立て

「韓国がすぐに事実上の報復措置に出たのは、日本の措置が純粋な防疫目的として受け取れないと判断したため」(聯合ニュース3月6日) 

 こんな風に報じられたように、韓国では、今回の日本の措置は安倍首相が支持者向けに行ったものという見方がもっぱらだ。中道系紙記者は言う。 

「ダイヤモンド・プリンセス号での失態など、新型コロナウイルス対策の失敗から安倍首相の支持率が落ちてきており、その危機感から失策から外に目を向けさせる、支持を取り戻すためにおこなったものと見ています。  

 韓国では保守派が『中国人の入国禁止』を叫んで文在寅大統領を圧迫していますが、安倍首相も自身の支持者層である右派から同じ要求をされていました。しかし、習近平国家主席の訪日が予定されていたため、中国人の入国禁止に踏み切れない事情があった。

習近平氏 ©代表撮影/ロイター/アフロ

 その訪日も延期されたため、中国には事前協議をして入国制限とし、中国だけでは申し開きができないために韓国も“ついでに”入国制限措置の対象にしたのではないかと見立てています」 

韓国政府の対抗措置には、国内からも批判の声

 保守・進歩問わず、ほとんどのメディアが今回の日本の措置には批判的で、唯一、「日本はタイミングが遅かったとはいえ中国を遮断した、世界的に孤立しているわれわれは日本にだけ憤っている」(3月7日)と中国に及び腰だと韓国政府を批判している保守系の朝鮮日報でさえ、「日本は習近平の訪日延期が確定した後、中国への入国制限をし、韓国も含ませた」(同前)と書いていて、このあたりに韓国の本音がにじみ出ている。 

 ただ、韓国政府の対抗措置には批判の声もあがる。