専門分野の掛け算が新たな価値を生む
高校生や大学生からインタビューを受けると、必ずと言っていいほど、
「やりたいことがない学生にアドバイスしてください」
と言われます。
そんなときの私の提案は、「ダーツで決めよう」です。
ダーツではなく、くじでも何でもいいのですが、暫定的に何かを決めて、とにかくそれをやってみるのです。それだけでいいのではないかと思っています。
私はドラえもんをつくりたいと思っていますが、なぜつくりたいのかをうまく説明することができません。たまたま与えられたものでしかないと思います。でも、与えられたものを軸にして、ほかのことを整理してきたことで、どんどん考えが広がってきました。
ある後輩と飲みにいったときに、
「やりたいことがなくて、困っているんですけど」
と相談を受けました。私は、
「ここに居酒屋のメニューがあります。目を閉じて、メニューを指差してください。あなたは、指を差したものの専門家です。1週間かけて、それを徹底的に研究してください」
と言いました。
やってもらったら、あろうことか「480円」を指差していました。
しかたないので、
「じゃあ、1週間後までに480円の専門家になってね」
と言いました。
1週間後、後輩は、
「480円の専門家になってきました」
と私に言ったのです。そして、こう続けました。
「480円で買える、あらゆるものを調べてきました。どんな人のどんな悩み事でも480円で解決策が出せます」
人は誰もが何かの専門家になれる
1週間かけて調べつづけるだけで、何かの専門家になれるし、特技をもてるということがほんとうによくわかりました。
1週間で専門家になれるのであれば、それを10週間やると10個の専門家になれます。
その10個の組み合わせの専門家は、おそらく日本にはいないはずです。
たとえば、1週間で100人に1人くらいのレベルになったとします。もし、それくらいの能力を2つ獲得したら、両方ともができるという意味では1万人に1人の人材になれるはずです。
同じように3つ組み合わせたら、100万人に1人、4つ合わせたら1億人に1人、とどんどん増えていって、たとえば10個組み合わせるなどということになったら、おそらく同じスキルをもっている人は、ほかにいないというレベルになるはずです。