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「ドラえもん」をつくるための思考法

 専門分野が組み合わさったときの爆発力は非常に大きなものになります。これは、いまの時代の価値の出し方に適しています。専門性の掛け算がうまい人ほど、高い価値を生み出している時代です。

 ある特定分野で1位にならなくても、いくつかの分野で、ある程度の専門性をもっていれば、それらを組み合わせることで、ほかの人には出せない価値となります。

 私自身をふりかえってみても、どの分野でもまったく1位ではありません。でも、AIと神経科学と認知科学を組み合わせて研究している若手研究者はめずらしいかもしれません。

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©iStock.com

 加えて、自分の研究がドラえもんという夢と掛け算され、つくったコミュニティや仲間たちが掛け算され、実際につくったロボットが掛け算されると、ほんとうに独自性に関して自信をもつことができます。

 点(ドット)と点(ドット)がつながるコネクティング・ドッツが価値を生むといわれますが、それがいまの時代の価値の出し方ではないかと思います。

「全脳アーキテクチャ若手の会」では、1人の学生が最大半年かけてひとつの分野について徹底的に研究し、二時間のニコニコ生放送で講演会を配信するということをやっています。

 どんなツッコミにも答えられるくらいの知識と、洗練された資料づくりが求められます。

専門分野の組み合わせが新たな価値を生む

 自分の専門分野以外のことを研究するのですが、半年たつと、「この分野と、この分野の両方ができる学部生なんて、この人以外にいないよね」という状態になります。

 軸を掛け算することで見える視界が急激に広がり、トップに食い込めるくらいの人材に成長していきます。実際、各大学・大学院の首席卒業者など、十数人のスターが「全脳アーキテクチャ若手の会」から生まれています。

 ある後輩は画像認識の研究室に所属していましたが、脳の海馬の研究をすすめたところ、半年間、真剣に海馬の研究を続けました。そして、画像認識と海馬の両方が得意になったことで、医療画像解析のベンチャー企業とつながりました。景色が変わった瞬間に、伸び方もふるまい方もすべて変わっていったのです。彼は留学し、さらに成長していきました。

 ほかにも、専門領域の組み合わせによって、新たな価値を生み出している人はたくさんいます。

 ドラえもんづくりには、さまざまな専門分野の人がかかわってくれています。それが掛け算になって、さらにすばらしいドラえもんが生み出せると思っています。

ドラえもんを本気でつくる (PHP新書)

大澤 正彦

PHP研究所

2020年2月15日 発売