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 確かに、インフルエンザや嘔吐下痢症(ノロウイルスやロタウイルスによるウイルス性胃腸炎)など感染症は日常的な病気ですから、どんな医師も感染症に詳しくなければいけません。だとしても、血液内科医や産婦人科医など他科のプロフェッショナルが、感染症専門医以上に感染症の診断や治療に詳しく、感染症の臨床経験が豊富とは言えないのではないでしょうか(日本感染症学会「感染症専門医の医師像・適正数について」)。

彼らはPCR検査についてどう考えているのか?

 その感染症専門医がPCRについて、どう発信しているでしょうか。私が見聞する限り、「軽症でも早期から希望者全員が受けられるように拡充すべき」と主張している感染症専門医は一人もいません。実際に新型コロナウイルス患者の治療に当たっている感染症専門医も含めほとんどが、「重症化の恐れがあるなど必要と考えられる人に限って行うべき」と発信していると思います。

 たとえば、PCR検査について感染症専門医が発信している記事には、次のようなものがあります。

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感染症内科医が伝えたい新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査について」(MEDLEY 2020年2月28日)筆者・県立静岡がんセンター感染症内科、伊東直哉医師

追い詰められる医療現場 新型コロナ治療最前線医師に聞く、医療崩壊を防ぐポイント」(論座 2020年2月29日)回答者・国立国際医療研究センター国際感染症センター長、大曲貴夫医師)

©iStock.com

新型コロナのPCR検査、誰でも受けられるようになるの? 検査の疑問に感染症医が答えます」(琉球新報2020年3月6日)回答者・沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科、高山義浩医師 

今日から新型コロナPCR検査が保険適用に PCRの限界を知っておこう」(Yahoo! Japanニュース 2020年3月6日)筆者・国立国際医療研究センター国際感染症センター、忽那賢志医師 

クルーズ船に乗り込んだ岩田氏も感染症専門医

 YouTubeによるセンセーショナルな告発で一般の人にも有名になった感染症専門医(神戸大学教授)の岩田健太郎医師も、次のように述べています(エキセントリックな言動をした岩田先生のおかげで、「感染症専門医は信頼できない」と思ってしまった人も多いと思いますが……)。

PCR検査は新型コロナ感染の『陰性証明』になるのか」(時事メディカル2020年3月6日)

 これらにじっくり目を通していただければわかる通り、感染症専門医は押しなべて「やみくもに検査を拡充すべきでない」という意見です。また、感染症専門医だけでなく、EBM(科学的根拠に基づく医療)に精通している臨床医の多くも、SNSなどで安易な検査拡大を諫める見解を発信しています。