昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/03/12

 実際、テレビを見ていた印象では、観客がいないことの影響はそれほど大きくないように見えた。ただ、ドッと沸くような笑い声が起こらないので、普段の大会よりも地味で盛り上がりに欠けるように感じられた。これは仕方がないことだ。

「無観客」の影響を受けたのは審査員の方だった?

 どちらかと言うと、無観客であることが影響を与えたのは審査に関する部分である。今回の大会では、現場にいる審査員による審査と、視聴者の「お茶の間投票」と「Twitter投票」の審査が併用されていた。6人いる審査員がそれぞれ3ポイントずつ持ち、「お茶の間投票」と「Twitter投票」からは順位によってそれぞれ3ポイント、2ポイント、1ポイントが与えられる。

『R-1ぐらんぷり』公式Twitterでの「Twitter投票」


 これまでの『R-1ぐらんぷり』では、審査員の評価と視聴者の評価は大筋では似ていることが多かった。だが、今回は、大きく食い違う場面も見られた。なぜなら、視聴者と似たような価値観を持つような一般の観客が現場にいなかったため、審査員がそのウケ具合を自分の評価に組み入れることができなかったからだ。

 原則として、審査員はそれぞれ自分の価値観に基づいて審査を行っており、観客がウケたかどうかを考慮する必要はない。それでも、実際に現場でどのくらいウケていたのかということは、多かれ少なかれ審査に影響を及ぼしていたはずだ。

双方の支持を獲得できた野田クリスタル

 今回はそれが一切なく、審査員票と視聴者票が完全に切り離されていた。そのため、評価が分かれることが多く、どちらか一方でしか支持されなかった芸人は勝ち上がることができなかった。

 そんな中で、野田だけが審査員と視聴者の両方から高得点を獲得していた。「自作ゲームの実況」という分かりやすい設定のネタで、双方からの支持を得ることに成功したのだ。テレビのモニター越しに見ると、ゲーム画面が大きく映し出される野田のネタは違和感なく楽しめる。たまたまテレビ向きのネタを選んだことが彼の勝因だったのだろう。

この記事の写真(2枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー