昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

無観客試合となった「R-1ぐらんぷり」 なぜ視聴者と審査員の評価は大きく分かれたのか?

芸人にとって“無観客”は意外と日常だが……

2020/03/12

 ひとり芸の日本一を決める大会『R-1ぐらんぷり2020』の決勝が3月8日に行われた。予選を勝ち抜いた11人に敗者復活戦の勝者1人を加えた12人が激しい戦いを繰り広げた。見事に優勝を果たしたのはマヂカルラブリー野田クリスタルだった。

 野田はマヂカルラブリーというコンビとして漫才の大会『M-1グランプリ』とコントの大会『キングオブコント』でも決勝に進んだ経験がある。この3つの大会で決勝に行ったことのある「トリプルファイナリスト」はまだ彼1人しかいない。漫才もコントもこなす「万能の天才」がひとり芸で初の栄冠を手にした。

3分間の“ゲーム実況”で優勝

 決勝で野田が披露したのは自作のゲームをプレイするネタだった。大きなモニターを舞台に持ち込み、PCとスマホのゲーム画面を映し出していた。

 1本目のネタでプレイしていたのは「太ももが鉄のように硬い男てつじ」というゲームだ。太ももが硬い主人公の男を操って、敵が次々に撃ってくる弾をよけていくという内容だ。

マヂカルラブリーの野田クリスタル(左)

 2本目のネタでは「モンモンとするぜ!!ストッキング姉さん」をプレイしていた。プレイヤーはハサミをパチンコの要領で飛ばしてストッキングに穴を空けていく。だが、一定時間でストッキングは新しくなってしまうし、ストッキング姉さんからの反撃もある。

 どちらも絵柄は手作り感があふれる脱力系。ゲーム性はそれなりにあるのだが、理不尽なゲームシステムにプレイヤーはひたすら翻弄されることになる。野田は3分の持ち時間の間、基本的にはただゲームをプレイしていただけだった。

これはどんな「芸」だったのか?

 このネタで優勝したことについて「こんなの芸じゃないだろ」という批判の声もある。過去の『R-1ぐらんぷり』でも、お盆で股間を隠す裸芸を披露したアキラ100%が同じように批判されたことがあった。ただ、アキラ100%の場合、股間を見せないようにするという曲芸のような要素が含まれている分だけ「芸」として解釈しやすいかもしれない。

 野田のゲームネタは、もはやネタではなくゲームをプレイしている姿をただ見せているだけではないか、と考える人もいるようだ。

 だが、私の感覚では、これはやはりネタに分類されると思う。