『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』(山口慎太郎 著)光文社新書

 結婚のメリットとは何か。マッチングサイトから見える、いまどきのリアルな出会いの形とは。子供を保育園に通わせることは、親にどんな影響を与えるのか。離婚が容易な社会では人々の行動はどう変わるのか。そうした結婚、出産、子育てなど、「家族の幸せ」に関するさまざまなトピックに、経済学者である著者が豊富なデータの分析から切り込む。そんな新書が第41回サントリー学芸賞を受賞するなど識者からの高い評価にも後押しされ、好調だ。

「読みやすく、親しみやすい文章で、統計の意味や、取り上げるデータの何がどうすごいのかまで踏み込んだ解説をしてくださっています。経済学の知識に触れたことがない人にも、この分野のおもしろさが伝わる新書らしい1冊になりました」(担当編集者の樋口健さん)

 よりよい「家族」を築くためのアドバイスをしつつ、押し付けがましくない点が魅力の本だ。

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「『赤ちゃんは母乳で育てるのが一番』とか、『三歳児神話』といった断言系のアドバイスが世の中には跋扈していて、子育て中の親を追い詰めるケースもあります。そういう根拠なきアドバイスを、きちんと批判しようという問題意識がありました。私もそうですが著者も子育て中で、実際に悩んだことがあるからこそ、とにかく慎重に、読者に安心してもらえるように書いてくださいました」(樋口さん)

2019年7月発売。初版8000部。現在10刷5万7000部