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「私はいじめられていた」作文を卒業文集に不掲載 札幌市立小学校の“事なかれ主義”

保護者がTwitterでつぶやくと一転して……

2020/03/16

机に「死ね」「バカ」の文字

 いじめがエスカレートしたのは、5年生になってから。ゴールデンウィークが明けたころ、机に「死ね」「バカ」などと鉛筆で書かれた。ただ、すぐに消してしまったために、目撃者はいない。たまたま、PTAの用事で母親が学校へ行くと、教頭から机の落書きの件を聞いた。その数日後には、上履きが隠される事件もあったという。

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 作文ではこう書かれていた。

〈いじめは3年生から始まりました。でも、学校は行かなければならないと思ってがんばっていました。休み時間は、絵を描いたり、本を読んだりして過ごすようにしていました。

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 しかし5年生の5月、登校すると机にひどい言葉がいくつも書かれていました。2日後には上ばきがありませんでした。私は学校へ行けなくなりました。

 しばらくは自分の部屋からも出られませんでした。今でも子どもが多いところには行けません。

 私は学校でみんなと同じように勉強がしたかったです。でも、また嫌な思いをすると思うと行けません。どうして、いじめの被害者だけがこんな辛い思いをしなければいけないのですか?〉

「いたずら」ではなく「いじめ」

 5月10日には、保護者懇談会で教頭が「いたずらがありまして」と説明をしていたが、母親が「いじめ」と言い直しをさせた。その場で母親は「無理に仲良くする必要はないが、嫌いなら構わないで。このことを親子で話し合って」と話した。すると、一人の保護者から謝罪があったという。

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 その後、Aさんは何度か学校を休んだりしたが、5月末からは不登校になった。

「秋ごろ、教頭から『転校はどうですか?』と、勧められました。しかし、なぜいじめられた側が転校しなければならないのかと疑問に思い、『なぜうちが?』と問いただしたんです。すると、教頭も『ごもっとも』と応じました」(母親)

 ただ、教育センターに行くと、登校扱いになるとのことだった。そのため、Aさんのケースは、統計上は不登校にカウントされないようだ。