2011年から16年まで横浜DeNAベイスターズの初代球団社長を務め、閑古鳥の鳴いていた横浜スタジアムを満員にし、赤字だった球団経営を黒字にまで引き上げた池田純さん。現在は一般社団法人さいたまスポーツコミッションの会長を務める一方で、先日B3リーグ・埼玉ブロンコスのオーナーに就任し、スポーツコンテンツによる地域振興、地方創生という新しいステージへの挑戦を始めている。
ベイスターズでもそうだったように、池田さんがリーダーとして仕事に向き合う姿勢はいつも本質的で、忖度やしがらみ、既得権益との対決を恐れず理想へと突き進むストロングスタイル。
今、新型コロナウイルスの感染拡大でスポーツ界が大きな影響を受けているが、池田氏は、今リーダーシップをとるべきあの団体の「不在」と、そこから見えてくる日本の病が気にかかっている――。
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どうして野球とサッカーだけの連携なのだろう?
世の中は今、新型コロナウイルスの話題一色です。
政府が大規模なイベントの中止や延期、規模縮小などを要請したことを受け、スポーツの各競技団体も難しい判断を迫られています。
そうしたなか、3月3日には、NPB(日本プロ野球機構)とJリーグが「新型コロナウイルス対策連絡会議」を設置。「感染防止に関する情報や対策などを双方で共有し、試合開催などの判断に役立てる」とともに、「プロ・アマを問わず多数の観客を集める競技団体に対しても情報を広く公開し、スポーツ界全体の対応力の強化を目指していく」としています(Jリーグ発表のリリースより)。また、プロ野球開幕延期とJリーグの試合開催の延期も決まりました。
このニュースに触れて、私は「どうして2団体だけの連携なのだろう?」と率直に疑問を抱きました。日本には数多くの競技団体があります。知見を共有し、共同で対策を進めるのであれば、野球とサッカーだけではなく、より広範な連携がなされてもよいのではないか、と感じたのが正直なところです。
そして、元スポーツ庁参与として、こうしたときこそスポーツ庁の出番なのではないか、とも思わずにはいられません。
スポーツ界全体でウイルス対策を推し進めていく。そのために競技を横断して連絡会議などの場の設定をオーガナイズする。それは、日本のスポーツ界を統率する組織としての重要な役割ではないでしょうか。しかし最近というかこの問題の最中で、スポーツ庁の名前を、まったくと言っていいほど聞きません。