昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/03/19

一斉休校要請に感じた「本物のリーダー不在」

 もちろん、法改正などさまざまな手続きが必要なことは理解していますが、それ以前の問題として、有事の際に物事が進んでいかないのは、本物のリーダーが不在だからなのではないか、と思ってしまうのです。

 本物のリーダーとは何か。

 保身にとらわれず判断して、決めたらブレることなく「背負う」リーダーです。

 小中高校への一斉休校要請が象徴的でした。

 多くの人が指摘しているとおり休校の要請に至った根拠はいまだ説明されておらず、事前に十分な検討がなされたのか、甚だ疑問です。

 それでも総理直々に要請した結果として、子どもの面倒を見るために仕事を休まなければならなくなった人々への補償問題が生じたり、給食として消費されるはずだった牛乳などが余り、生産者の事業継続が危うくなったりするなど、さまざまな方面に大きな影響が出ています。

©iStock.com

 当然、国民からは不満の声があがり、政府はその対応、対話に追われる。国会では野党の追及を受ける。“あとだしじゃんけん”のほうが強くて当然ですし、今の日本ではそれが平然と行われる文化になっているように感じます。だからこそリーダーは、それを突っぱねるだけの根拠や明確な意思を持っておかなければなりません。しかし、それがないから、右往左往してしまう。そうこうしているうちに、ただ時間だけが過ぎていく……。

リーダーが大きな決断を下すときに考えるべきこと

 遡って考えれば、やはり、「リーダーが決めて、覚悟をもって、背負ったか」に行き着きます。

 私が経営者として大きな決断を下すときは、まず徹底的な検討を行います。よくビジネスの世界では「MECE(ミーシー)に検討する」という表現を使うのですが、ロジカルシンキングの基礎中の基礎であるMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive=ダブりなく、もれなく)という考え方を用いて、隅々まで検討した結果、「この方向で行く」と決めます。もちろん万人が納得する答えはなく、一部から不満が出ることも承知のうえで、それも含めて背負います。だから、ぶれない。もし結果としてその決断が間違っていたら、過ちは認め、しっかりと反省し、傷が最小のうちに改め、次への教訓とするしかありません。

 それくらい割り切らなければ、特にこうした緊急事態にあっては、物事は決められないし、動かせないのです。