安倍首相による新型コロナウイルスに関する2回目の記者会見(14日)を新聞各紙はどう伝えたか。

 各紙一面で共通していたのは「緊急事態の状況でない」(読売)という首相の言葉だった。

3月14日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法を受けて開かれた記者会見での安倍晋三首相 ©︎AFP/AFLO

記者会見の「内情」を報じた3紙

 さらに見ていくと、読売、産経、日経は「追加景気対策を検討」「卒業式 安全工夫し開催を」「大型経済対策に意欲」と淡々と報じたが会見内容に批判的だったのは朝日、毎日、東京。

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「首相『寄り添い』アピール 新型コロナ不満払拭を意識」(朝日)

「説明丁寧 新味は乏しく」(毎日)

「核心あいまい 首相会見 国民の不安解消遠く」(東京)

 この3紙に共通していることはもう一つあった。記者会見の「内情」を報じていたのだ。

「会見打ち切りめぐり騒然」(朝日)、「前回批判踏まえ延長」(毎日)、「前回の批判受け延長」(東京)ときれいに揃った。

 私はここに新聞の面白さを感じてしまう。

 というのも前回2月29日の首相会見は質問の挙手をしている人がいたにもかかわらず会見を打ち切ったことに批判が起きた。この批判は「内閣記者会」に対してもあった。予定調和で成立しているのは首相官邸の記者クラブにも問題はあると。

3月14日の記者会見 ©︎AFP/AFLO

報道室から「各社にどんな質問をするか聞いている」

 朝日、毎日、東京は政府にツッコむが、SNS等ではツッコまれていた立場でもあったのだ。「先進的な」立場を選ぶ以上は自分へのツッコミにも対応しなければいけない。そんな逡巡を行間から感じた。

 なので今回は、

《内閣記者会は「十分な時間の確保」を要請した。》(毎日・3月15日)

《内閣記者会は今回、十分な時間を取り、多くの質問に答えるよう首相側に要請した。》(東京・3月15日)

《13日午後7時半ごろには朝日新聞官邸取材キャップの携帯電話に報道室から電話があり、「各社にどんな質問をするか聞いている」として質問内容を尋ねられた。キャップは答えず、質問が尽きるまで会見を行い、フリーの記者も含めて、公平に当てるよう求めた。》(朝日・3月15日)

 これらの「説明」も紙面でしていたのである。これが朝日、毎日、東京のもう一つの首相会見記事の読みどころだった。意地悪な見方をすれば言い訳である。