「60~70%でスタート→20%台に急落」パターンを完全否定
1990年代から第2次安倍内閣前の野田内閣まで、多くの内閣が政党に関係なく60-70%という高い支持率でスタートするが1、2年の間に20%台以下に急落し、辞任に追い込まれたり総選挙で敗北して政権を失うパターンを繰り返してきた。1年足らずの間に50ポイント以上も支持率を下げた政権は一つではない。
それと比べると発足以降、40%を大きく下回ることがない第2次安倍内閣の支持率の推移はそれまでのパターンを完全に否定するものとなっている。正確に言えば安倍内閣でもそれなりに下がったことはある。例えば2017年7月、朝日新聞の世論調査では内閣支持率が6月の41%から33%に8ポイントも下がった。同じ月、NHKや読売新聞では13ポイントも下がり、いずれも30%台半ばまで落ちた。時事通信社の調査では15.2ポイント減の29.9%と初めて30%を切り大いに話題になった。
7月は通常国会会期が終わった直後の調査だった。改正組織的犯罪処罰法を成立させた自民党の強引な国会運営が批判されるとともに、森友・加計問題に関する野党の追及も注目を集めていたタイミングで、政府は苦しい立場に追い込まれていて、それが支持率急落につながった。
ところが安倍内閣の支持率は8月以降、徐々に回復し10月には40%台に戻った。安倍首相が一連の不祥事について何か詳細な事実を示し国民を納得させたわけでもなければ、不祥事を吹き飛ばすような画期的な政策を打ち出したわけでもない。にもかかわらず内閣支持率は回復していったのだった。
数々の問題を抱えているにもかかわらず安倍内閣の支持率はなぜ安定的な数字を維持しているのであろうか。そこにはそれ以前の内閣と異なる点をいくつか見出すことができる。