50代以上と20、30代で意見が分かれる理由
そして、興味深いことに内閣支持率が不祥事などに左右されず安定的に推移するようになったタイミングと、スマートフォンの普及が高原状態に達したタイミングが一致しているのである。
スマートフォンを使って得られる情報のコンテンツが、新聞やテレビのコンテンツとは全く異なっていることはすでによく知られている。FacebookやGoogle、Yahoo!ニュースなどは、ユーザーの関心、好みに合わせて情報を選択するアルゴリズムが機能している。あるいは友達同士が気に入ったニュースをシェアし合っているのだ。
その結果、ユーザーが手に入れることのできる情報は第三者が作ったフィルターを通したものに限られ、組織的犯罪処罰法や公文書管理などという問題は届きにくくなる。趣味や芸能、スポーツニュースなどが溢れ、それらを友達同士でやり取りするという閉じられた空間ができているのである。新聞社がいくらこぶしを振り上げて政権を批判しても、伝わりにくい仕組みができているのだ。内閣支持率が安定的に推移する状況はこうして創られているのではないか。
一方で新聞やテレビという伝統的なメディアに触れる機会の多い50代以上の世代は、政権の問題に敏感に反応し内閣に批判的な姿勢をとっており、それが数字に現れている。
今後、スマホの利便性はますます高まり、どっぷりつかってしまう世代が増えていくと、この現象はさらに進むであろう。一人一人の好みに合わせた情報の世界は利用者にとって居心地の良いものだ。しかし、それは同時に政治が抱えている問題を認識するために必要な「公共空間」から切り離された閉鎖的な空間である。それがさらに肥大化することは、安倍内閣の評価を超えた、民主主義にとってかなり危うい現象と言えるだろう。