昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/03/26

失った老後資金を挽回できない

「自分も買っているので大丈夫。利息が6~10%と高いし、ブラジルはオリンピックを控えているので発展する」

 70代前半の男性は5年前に証券会社の担当者にこう勧められ、仕組み債であることを知らずに購入して大きな損失を出した。男性の収入は年100万円の年金しかなく、決して裕福ではない。老後資金が失われたことが分かると、鬱病を発症したという。

©iStock.com

 こうした被害も取材し、問題を追及しているフリーライターの半田修平氏が話す。

「多くの人が定年退職した後に金融機関から勧められて購入し、70歳を超えた5年後の満期に数百万円、時に1000万円を超える損失を被ったので深刻です。失った大事な老後資金を挽回できる年齢ではありません。

 問題は、国債など普通の債券をイメージして購入した人が多いこと。しかし実態は債券ではなく、為替の変動リスクを負う代わりに“掛け金”を貰うオプション取引なのです。購入時にこの仕組みを理解できていた人は皆無でしょう。オプション取引はプロが行うものであり、仕組み債を普通の投資家に販売するべきではありません」

©iStock.com

仕組み債で高齢者の被害が続々

 この商品だけが問題ではなく、これまで販売されてきた仕組み債全般で高齢者の被害が出ている。

「相続した不動産を売却して安定資産として円建て債券を保有していたが、金融機関担当者に勧められて売却し、リスクの高い外貨建て債券を購入して730万円の損害」(60代後半女性)

 

「金融機関担当者に勧められ、老後資金の大半である従業員持ち株会で積み立ててきた株をすべて売却して外貨建て債券を次々と購入し、為替の変動により4129万円の損害」(70代前半男性)

 

「金融機関担当者に対する信頼が厚く、勧められるままにEB債(仕組み債の一種)、外国株、投資信託などのリスク商品を次々と購入して2563万円の損害」(70代後半女性)

 

「金融機関担当者に提案されて複雑な仕組みの外貨建て債券を2本購入し、為替の変動等で800万円の損害」(80代前半女性)

(「証券・金融商品あっせん相談センター」公表の19年10月~12月の事例)