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日経平均株価が“爆弾”である理由

 リスクの高い金融商品が一般の投資家にも販売されはじめたのは、長く続く低金利が影響している。

「金利は預けたお金に対して付く利益のことですが、日本では金利が1%を割って長く、今はマイナス金利。金融機関は普通に金融商品を作っても利回りが低くて売れないため、利回りを高くするために、オプション取引などを組み込んだ金融商品を作りました。期待利益が高くなる分だけリスクも高くなりますが、売れるから売っているのです」(経済誌記者)

 今、“爆弾”と見られているのが、東京株式市場の日経平均株価がさらに下がった時のことだ。

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 仕組み債には日経平均株価に連動する商品も多い。これもオプション取引を組み入れたものだが、日経平均株価が安定して上昇すれば6%、7%と高い利益が出るため、アベノミクスで株高になって以降、販売が急増した。

 しかし特殊な条件が付き、逆に日経平均株価が下落して一定ラインを下回ると、巨額の損失を被ってしまう。

「日経平均株価が2万円を超えていた時に販売された仕組み債は、この一定ラインを1万5000円前後に設定したものが多いと見られ、今後、日経平均株価がさらに下がってこのラインを割れば、仕組み債を購入した投資家の損失が爆発的に増えるのです」(同)

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 新型コロナウイルスが世界に広がり、様々な影響が出ている。とりわけ経済への影響は大きくなるばかりだが、国家が個人救済も含めた対策に動いて1年後には落ち着き、経済は回復するという見方も小さくない。しかし、この仕組み債による損失は国家が救済するとは考えにくく、多くが高齢者という点で問題は深刻だ。