「私は肺に持病があるのでかなり神経質になっている」
ロンドンを拠点にする歌手の鈴木ナオミさんは「私は肺に持病があるのでかなり神経質になっている。肺の空気を入れ替える運動をしている。洗剤、生活必需品を2カ月分少しずつ買い、2週間分生きられる食料を保存したところでロックダウンになった」と振り返る。
「SF映画のようなことが本当に起こってしまった。明日があるかないか分からないと本気で思うから、今日という日を以前よりも必死で生きるようになった。東日本大震災の支援活動に取り組んできたが、今改めて生かされているありがたみをヒシヒシと感じる。人生観が変わった」
英国のパンデミック行動計画のもとになる感染症数理モデルを作った英インペリアル・カレッジ・ロンドンのチームを率いるニール・ファーガソン教授は25日、英下院科学技術委員会にテレビ電話で証言した。ファーガソン教授自身、感染して軽い症状が出ているため自己隔離中だ。
「NHS(国民医療サービス)の収容能力が拡大される一方、人の接触が制限されているので、2~3週間後にエピデミックのピークが訪れても重症・重篤患者に対処できるという合理的な確信がある。英国の死者は2万人を超える恐れは低く、それよりはるかに低く抑えられるだろう」
英国も、韓国のように検査のローラー作戦を
ファーガソン教授によると、集中治療室(ICU)ベッドは一部地域で限界に近づくものの、国レベルでは問題ないという。現在の戦略は1年から1年半後にワクチンが使えるようになるまで感染を低レベルに抑えることを目的にしている。
しかし都市封鎖が長期化すると経済的な代償は数十年に及ぶ恐れがある。そのため英国も数週間以内に韓国のように検査のローラー作戦を行って感染者を一人ひとり追跡・隔離できる能力を獲得する必要があるとファーガソン教授は指摘する。
欧州での感染爆発を見ると、患者1人から3人に感染が広がっているという。感染力がこれだけ強いと最大で人口の67%が感染するまで流行は終息しない恐れがある。
中国湖北省武漢市に続いて欧州の長寿国イタリア、スペインが突然、出現した新型コロナウイルスの“巨大津波”にのみ込まれ、医療システムが崩壊。スペインでは高齢者介護施設が見捨てられ、遺体や息も絶え絶えの高齢者が見つかった。
金融危機・債務危機以降の医療費削減で、ゴーグルやN95マスク、防護服が不足し、ゴミ袋で代用する医師や看護師もいる。
英国やフランスも“巨大津波”にのみ込まれる恐れが残っている。新型コロナウイルスの潜伏期間が最長で14日もあるため、無症状病原体保有者がウイルスを撒き散らすスーパースプレッダーとなり、クラスター(集団感染)の連鎖とメガクラスターの発生を引き起こすからだ。