元慰安婦など実被害者は常に利用されてきた
「旧・挺対協の持論は、『北朝鮮と協力して慰安婦問題で共闘しよう』というものです。そもそも尹美香氏の近親者は北の内通者という疑いもある人物であり、彼女らの活動と北朝鮮は常にリンクしている。つまり尹美香氏らは慰安婦問題を『人権問題』と語っていますが、事実上は民族主義活動、反日闘争のための道具になっているのです」(韓国人ジャーナリスト)
旧・挺対協は元慰安婦などの実被害者を常に利用してきた。韓国政治もそうした旧・挺対協の活動を優遇し、実被害者への対応を後回しにしてきた。
今回の尹美香氏出馬に際しても、与党内で似たような構造が垣間見えたのだという。アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会の崔容相(チェ・ヨンサム)事務局長はこう語る。
「じつは3月初旬に、共に民主党から私の方に接触があり、出馬の打診がありました。これまでの歴史問題の過程において旧・挺対協などの市民団体の声ばかりが優先され、元慰安婦や元徴用工といった実被害者の『人権』が韓国内では蔑ろにされている、と私は問題意識を持っていた。この人権問題を、どう政治に訴えるべきかと模索していたところだったので、出馬を前向きに検討していたのです」
アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会とは?
崔氏が事務局長を務める同遺族会は多数の戦争被害者や遺族が参加する有力団体の一つ。2018年12月20日に、徴用工被害者と遺族1000人以上が原告となり、韓国政府を相手取り1人あたり1億ウォン(約1000万円)の補償金を求める訴訟をソウル中央地裁に起こしたことでも知られている。
日韓関係を悪化させた韓国大法院判決。そこで日本企業への賠償命令を求めた徴用工裁判グループとは、正反対のスタンスを取るのが崔氏の遺族会だといえよう。
「韓国政府は日韓基本条約に基づいて日本からお金を受け取っています。韓国政府はその受け取った資金を(戦争)被害者に渡さなかった過去がある。だから私たちは、日本から韓国政府が貰ったお金が被害者に渡っていないという状況を“正す”ことが必要だと思い裁判を闘っているのです」(崔氏)
こうした韓国政府相手の裁判対策なのか、遺族会の代表としての打診だったのかは定かではないが、崔氏の証言によると、出馬打診は与党サイドからの提案だったという。