元慰安婦を食い物にしている運動体の解散を目指した沈美子氏
「崔氏は李洛淵元首相の秘書室長と親交があり、徴用工問題などにも詳しいということで白羽の矢が立ったそうです。ところが崔氏擁立案に対して、激しく市民団体が反発したというのです」(前出・韓国人ジャーナリスト)
いったいどういうことか。事の経緯を説明する。
いま崔氏が力を入れている活動の一つに、沈美子氏(故人)という元慰安婦の人権回復運動がある。
沈美子氏は韓国・遺族会の対日補償請求裁判の原告の一人で、元慰安婦としても実名で数々の証言を行ってきた女性だ。頭脳明晰で弁が立ったといわれ、元慰安婦の中ではリーダー的な役割を果たした一人だったが、08年に84歳で亡くなっている。
実は04年3月13日、沈美子氏ら13人の元慰安婦は、挺対協(当時)とナヌムの家に対して、「募金行為及びデモ禁止の仮処分申請」を申立てる裁判を起こしていたのだ。その目的は、運動の資金源である募金を止めさせることと、日本大使館前で行われる水曜集会を止めさせることにあった。
当時の準備書面にはこうある。
〈日本軍慰安婦または女子勤労挺身隊ではない、日本政府がいう偽者を動員し、ソウル日本大使館の前や周辺で次のような内容や表現を提唱したり、流布する行為を禁ずる。
一・日本軍慰安婦に対するアジア女性基金は欺瞞だ。日本のカネを受領するのは公娼を認めることだ。
二・その他、被告が日本軍慰安婦の利益を代弁するという趣旨の内容〉(要約)
沈美子氏の支援者は、裁判に至った経緯をこう解説する。
「当時、多くのハルモニ(元慰安婦)は貧しい境遇にあったのに、挺対協がほとんどのお金を持って行ってしまうことを沈美子はおかしいと感じていた。そこで33人の元慰安婦を集めて『世界平和無窮花会』を組織して独自の活動を目指した。そして、挺対協やナヌムの家などの元慰安婦を食い物にしている運動体の解散を目指し裁判を起こしたのです」(彼女の支援者)