旧・挺対協は沈美子氏は元慰安婦ではないと主張するように
沈美子氏らの訴えは裁判所によって退けられてしまう。だが旧・挺対協は今でもそのことを恨みに思っているのか、折りに触れて”沈美子氏は元慰安婦ではない”という主張を繰り返すようになった。沈美子氏は93年8月31日に韓国政府から元慰安婦(決定番号49)と認定、援助対象として登録された女性である。そうした事実を無視して、市民団体が独断で、かつ根拠も示さず沈美子氏の人生を否定するという行為を繰り返しているのだ。
詳しい経緯は、拙著『韓国人、韓国を叱る 日韓歴史問題の新証言者たち』(小学館新書)でも紹介しているので、ぜひ参照頂きたい。
そうした実情を知った崔氏は、元慰安婦という経歴を消そうとする行為は、大きな人権問題だとの主張を行い、現在、旧・挺対協に対して激しい抗議活動を行うようになった。時には、旧・挺対協が開催する水曜集会に対抗するように人権回復の横断幕を掲げることもあった。
つまり崔氏と旧・挺対協は因縁浅からぬ仲にあったのだ。
崔氏も不満げな様子で首を傾げる。
「蓋を開けて見たら、私の出馬は無くなり、尹美香氏出馬が発表された。いったいどういうことなのか、と驚いています」
鳶に油揚げをさらわれる形になった崔氏。韓国政治は実被害者には冷淡で、市民団体は優遇するというスタンスがここでも露わになった形だ。
「与党が結果的に尹美香氏を選んだということは深刻です。旧・挺対協はこれまでアジア女性基金を潰し、和解・癒やし財団を解散に追い込むなど、常に慰安婦問題の解決への道を妨げてきました。そんな彼女が政界入りすることになれば、今後、慰安婦問題の政治利用が更に激しくなるのは必至。歴史問題での和解への道は限りなく遠くなってしまう可能性が高いでしょう」(前出・太平洋戦争遺族会メンバー)
“反日”団体トップの出馬宣言の衝撃は大きいーー。