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 五輪開催が1年延期されれば、当然五輪終了後のリノベーション工事のスケジュールも1年遅れることとなる。単純に考えれば引渡し、入居開始も1年遅れると考えるのが自然だ。もちろん、工事を急がせる、あるいは現在までに分譲してしまった棟を優先して工事するなどの対策は考えられるが、2街区の棟のそれぞれで一部を分譲してしまっているので、工事は広範囲に及び、限られた期間で終えられるかは予断を許さない状況だ。

住宅ローンは“引き渡し時点の金利”が適用される

 仮に1年延びた場合、既に売買契約を締結した顧客からのクレームが殺到するだろうことは想像がつく。ファミリー用の部屋が中心なので、子供の新入学のタイミングでの入居を考えている顧客も多かっただろうし、現在住んでいる賃貸住宅の契約更新に伴う更新料などの余分な支払いを余儀なくされる顧客も出現するはずだ。

 また、住宅ローンの金利は建物引渡し時点の金利が適用されるので、金利上昇リスクを懸念する顧客も出るだろう。

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 五輪終了後のリノベーション工事が引渡しまでの前提条件となっているだけに、五輪開催の遅延は今回の分譲事業に大きな影響を与えてしまっているのだ。おそらく売主側も、こうした事態を全く想定していなかったものと想像される。

解約しても「数百万円の手付金」は返ってこない?

 こうした事態を受けて、顧客から契約そのものをキャンセルできるかという問題が発生するだろう。本件における実際の契約書を見たわけではないので正確なところはわからないが、おそらく売主側の立場にたてば、新型コロナウイルスの発生は天変地異であり、通常契約において、地震や災害などの予測できない災害の発生に関しては引渡しが遅れてもその責務は負わない、とするのが通常の解釈となるだろう。

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 天変地異条項におそらく「疫病」という表現はないだろうから、法的に戦う余地は十分にあるだろうが、売主側としては買主がキャンセルするのであれば、それまでに買主が支払った手付金は返還せずに、所謂「手付流し」として解約に応じるというのが通常の対応であると思われる。

 マンション購入の場合、手付金はおおむね購入価格の5%から10%相当になるので数百万円のレベル。買主側がおいそれと納得できる金額とはいえないだろう。