犯罪と同時期に熱心にボランティア
さらにこのチョ・チュビンの「裏表」を表すエピソードが2つある。韓国の警察は「2018年から犯罪に手を染めていた」と把握しているなか、同時期に「善い行い」があったのだ。
「ボランティアをやっていたんです。成年男子の兵役義務のある韓国では、代わりに社会奉仕活動への従事も選択可能で、彼は保育園で奉仕活動を行っていました」(前出記者)
当時、本人はメディアからインタビューされ、こう答えている。
「誰かの助けになりたくて、徴兵期間にボランティアを行うことにしました。保育園の子供達が笑って、騒いでこちらに寄ってくるので、いつのまにかボランティアと相手の関係ではなく、兄と弟、妹の関係となりリラックスして楽しめました」
2018年1月には、電話での「オレオレ詐欺」の検挙に貢献したとして、地元仁川の警察署から感謝状を授与されている。不法にお金を引き出させている状況で警察に通報した。本人はブログでこう誇らしげに書き綴っていた。
「神とともに怒るべきボイスフィッシングの犯罪者を何人か検挙した。末端の引き出し段階にあった現場で被害金を確保したこともあった」
下着を頭に被った写真、裸体でヨガをする動画……
その傍らで凶悪事件に手を染めていた。SNS上で「援助交際のサクラ」で「お金がもらえる」と女性を騙し、個人情報をすべて入手した。この個人情報を基に脅し、下着を頭に被った写真、裸体でヨガをする動画、裸体のうえにナイフを並べ「奴隷」「博士」とハングルで書かせた写真を撮影するよう強要した。躊躇すると裸で「間違っていました」と謝罪をする動画も撮影させた。
これらをチャットルームの顧客に公開するように強要したのだ。残忍さはそれだけではない。生年月日、家の住所、電話番号なども“被害女性たちの「リアリティ」を伝えるために”顧客に晒した。被害女性たちが逃げようとするとSNSの友達リストを公開し、さらに「性売買をしようとしたと家族に伝える」と脅した。また被害者の性的動画や写真をSNS上の「ストーリー」にアップ。「博士の奴隷」というタイトルをつけ、数千人に無料で見せた。また、チャットルーム上で動画や写真を見た顧客間でのやりとりがエスカレート。「どうか性奴隷の動画をくれ~」といった言葉が次々と綴られていった。